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「あれ…Aもしかしてお弁当作り終わっちゃった?」

『うん昨日下ごしらえしておいたからさっき完成したよ、今冷ましてるの』


調理器具を洗いながら答えてくれる彼女に残念だなぁと呟く、洗ったものを水切りカゴに入れてパッとこちらを振り向いた彼女が頬を染める。俺のことを格好良い、好きって顔してるのが分かる。


「ん、なんで赤くなってるの?」

『えっと、あの、お風呂上がりの拳くんって、ちょっと…』

慌てている彼女。それが可愛すぎてにんまりしながら、ちょっとって何?とハグしながら聞いてみた。

『け、拳くんっ私手濡れてるから濡れちゃうよっ』

身体を離して素早く掛けてあるタオルを掴んでAの手を拭いてあげる。

「これでよし!それで何?」


顔を近付けてジッと見つめてあげる。彼女は顔を逸らそうとしたから手で抑えてこっちを向かせた。逃げられないと悟った彼女は、拳くんが格好良いから…って答えてくれる。


「やったぁ、Aに格好良いって言ってもらえるの嬉しい」

『絶対に聞く前から分かってたでしょ?』

「当然分かるけど言わせたいよね?」


ニヤリと笑えば、もうっなんて言って恥ずかしそうに俺の胸に顔を埋める。お弁当作ってるところを今朝見られなかったのは残念だがこんな可愛い彼女が見られたから最高の朝だ。ふとキッチン台のお弁当のおかずが並んでいるのが目に入った。少し疑問に思う、いつもより多いように感じる。何かあるのかな?


「ねぇお弁当のおかず量多くない?俺いっぱい食べる方だけどこんなに食べられるかな?あ、もしかして藤枝の分もまだ作る感じ?」

『えっ、あぁ祥のではないよ、拳くんへのお弁当配達は終わったから。これは私の分…えっといつも拳くんのものと一緒に作ってるんだよ』

「マジで?知らなかった、Aの分も作ってたんだね。でも確かに執筆の合間に自分のお昼の用意するってなると大変だもんね。Aは芸能界の仕事もあるし」

『ん、用意するのはそこまで大変ではないけど…えっと拳くんと一緒のものが食べたいから、同じメニューで作ってました』

「え、俺と一緒のもの?」

『うん、そっか拳くんは知らないよね?ごめん、何か隠してた訳ではないんだけど……あの、そんなことして気持ち悪いとか思ったりするかな?』
 
 
 

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作者名:佐伯 | 作者ホームページ:   
作成日時:2022年11月9日 1時

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