【名探偵コナン】元アラサー、転生して現在JKやってます。その2。

＊ ページ12

「……働くこと決まっちゃったよ」



　誰もいない、一人だけの空間となっているお店の裏方でそう呟く。


　モニター面接をするということで、裏で一人で対応させてもらうことになり話をしていたら、気がつけば働くことが決定していた。

　結構無茶なお願いも聞いてもらえたから文句なんて一切ないけど、あまりにも話がうまく進み過ぎてちょっと困惑する。でもバイト先がすぐに見つかったのはやっぱり嬉しいな。マスターも急なモニター面接だったのに優しく対応してくださったし。



「すみませーん、面接終わりました。梓さん、スマホ借りちゃってすみませんでした」

「気にしないでください！ むしろ急にモニター面接なんて言い出したのは私ですから。……それで、どうでしたか？」



　不安げにそう聞いてくる梓さん、そして安室さんにも改めて向き直り、小さく息を吸った。



「さっそくですが、明日からバイトとして働かせてもらうことになりました！ どうかよろしくお願いいたします、梓さん、安室さん」



　深々と頭を下げて、ゆっくり顔を上げると梓さんが物凄く嬉しそうに笑っていた。可愛いな。そして安室さんも心なしか嬉しそうだった。その感情の真意は分からない。

　席に戻って、味が薄くなったアイスコーヒーを飲む。面接なんて久しぶりだから、ちょっと緊張したな。



「こちらこそよろしくお願いします！ やった、誘ってみるものね」

「よろしくお願いしますね、Aさん。Aさんと働けるなんてすごく嬉しいです！」



　静かに喜んでる梓さん可愛いなぁって見てたら安室さんが安定のハニトラ発言をして、思わず思考が停止する。本当に嬉しそうな笑顔をするものだから恐ろしい。

　もうこれはハニトラというか安室透のデフォなんだと考えた方がいいかもしれないな。ハニトラされる理由はない……はずだし、思わせぶりな言葉も態度もきっと安室透という人物だから、なんだろう。

　そもそもハニトラだって私が考えちゃうのも、前の記憶があるからなんだよね。勝手に決めつけるのはよくないな、ハニトラだって考えるのはいい加減やめよう。


　そんな脳内会議をして、すぐにハニトラだと考えることはやめる結論に至った。それと同時に、あれがデフォならそりゃあ女の子人気もあるわけだ、と妙に納得した。

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