第77話『天使みたいに可愛い子』 ページ35
杏奈side
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「お兄ちゃん?」
玲瓏な声がして、振り返ると、そこには驚いた顔をした美少女がいた。
真っ白で透き通った肌に、絹のように美しく艶のある髪。
大きくて丸い2つの目は、色素が薄く、暗闇の中でもキラキラと輝いている。
その瞳に負けず劣らずの長い睫毛。
とんでもない美少女だ。
この子が、周防光。私に嫌がらせをしてきた張本人なのだ。
やばいくらい可愛い。
翼、よくこんな美少女をフッたなあ・・・。
周防光は、周防望の隣にいる私を見て、明らかに動揺している。
今からこの子に交渉するのか・・・なんか、気が引ける。
こんなに可愛くて、華奢で、蚊も殺せなさそうな容姿の女の子が、実兄を使って恋敵を襲わせたなんて信じられない。
夜の公園に沈黙が広がる。
周防光は驚いて声も出ないみたいなので、私が口を開いた。
「初めまして、周防光さん。美門翼とのことで話したいことがあります」
翼の名前を出すと、周防光はピクっと眉を動かした。
そして、しだいに眉間に皺を寄せ、怪訝な表情になる。
「誰よ、貴方。」
うわ、シラを切る気だ。
「私はお兄ちゃんに呼ばれてここに来たの。初対面の貴方と話すことなんてないから」
可愛い顔してるのに、なかなかキツそうな性格をしている。
私はどう話を切り出そうか迷って、考えてから言葉を発した。
「私の良くない噂を流すの、やめてもらえませんか?」
「・・・なんの事?」
私はすかさず言葉を続ける。
「翼へのストーカーもやめてください。あと、変なおじさんたちに私の情報売るのもやめてください」
「だから、なんの事?」
「誤魔化さないでくださいよ。お兄さん使ってまで、私を傷つけたかったんでしょう?」
周防光は息を呑む。
「望さん、問い詰めたら自白してくれましたよ。大事なお兄さんに、よくこんな危ない橋渡らせましたね。私が訴えたら、お兄さん捕まっちゃいますよ」
周防光は、私の後ろにいる周防望を一瞥すると、ジロっと私を睨んできた。
「何よあんた。私を脅す気?」
「まあそんなところです。少しお話しませんか?」
何とか話の主導権を握ることはできた。
ここからどう話を広げていくかが重要だ。
「翼と仲がいい私のことを、随分嫌っているみたいですね」
周防光は不愉快そうにため息をついた。
「当たり前でしょ。私の方が可愛くて頭もいいのに、どうして私がフラれて、貴方なんかが彼女になれるのよ。おかしいじゃない!」
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マオ - 本当に面白くて好きな作品です。また更新してくださるのを心の底から願っています。 (4月25日 14時) (レス) @page36 id: 7f466015d5 (このIDを非表示/違反報告)
☺️ - 何度も読み直しました!ほんとに面白くて大好きです!!更新待ってます!頑張ってください (4月13日 15時) (レス) id: afc26fea88 (このIDを非表示/違反報告)
ナノハナ - どハマりしてしまいました!!応援しています!!! (3月27日 20時) (レス) id: 137f80559f (このIDを非表示/違反報告)
はなる(プロフ) - 更新ありがとうございます!何度も読み返すくらい大好きです!どうかご無理なさらずに、澪さんのペースで更新頑張ってください!楽しみにしています! (3月21日 15時) (レス) @page34 id: 8fca23518d (このIDを非表示/違反報告)
みぃあ(プロフ) - 何回も高評価したいくらい大好きです!!!頑張ってください! (3月20日 20時) (レス) @page32 id: 2f881ad2dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:澪 | 作成日時:2022年5月9日 18時