笑顔の仮面は知っている10【探偵チームKZ事件ノート】

第5話『サイコパス』 ページ10

彩side


私たちは、6人で秀明出て夜道を歩く。

「神崎、さっき超怒ってたな」

若武に言われ、杏奈ちゃんは照れたような笑みを浮かべた。

「普通に友達と話してるだけなのに、あんな風にゴチャゴチャ言われたら、すごくムカッてしちゃって」

上杉君が頷く。

「それでいいよ。あいつら、すぐに見せもんみたいに寄ってくるからな」

杏奈ちゃんは、大きく伸びをする。

心底疲れたといった様子だった。

「どうせ文句言ってくるなら、直接言ってきて欲しい。そしたら、こっちも対応するのに」

黒木くんは、興味深そうに杏奈ちゃんに目を向ける。

「対応って、どんな風に？」

杏奈ちゃんは、ニヤッと不敵な笑みを見せる。

「それはナイショ。女の子だけの秘密のお話し合いだから。主にトイレで行われる」

女子トイレって、悪口とか噂話、恋バナの宝庫だもんね。

それにしても、ここら辺は街灯も少ないから、薄暗くて怖いな。

こんな所で通り魔に襲われたら・・・。想像してゾッとする。

通り魔が彷徨いてると思ったら、安心して毎日を過ごせない。

早く掴まって欲しいな。

「通り魔って、何が目的で人を襲うのかな？」

ふと気になって、そんなことを口にする。

上杉君が、眼鏡の中央を中指で押し上げる。

「犯罪者が犯罪に足を踏み入れるきっかけの多くは、ストレスだと言われている。家庭環境のせいだったり、失恋だったり、金欠や欲求不満とかもストレスになる。」

ストレスにもいろいろあるもんね。

「ストレスじゃなかったら、ただのサイコパスだろ」

サイコパスって、耳にはするけど、イマイチよく分からない。

「サイコパスって、どういう人のことを言うの？」

上杉君は、なんて事ないと言ったように答えてくれる。

「サイコパスっていうのは、反社会的人格の持ち主を表す言葉だ。日本語訳は『精神病質者』。精神保健及び精神障害者福祉に関する法律で、精神障害者と定義されている。病名としては、反社会性パーソナリティ障害に該当する。サイコパスの特徴的性格は、冷酷、無慈悲、尊大、良心の欠如、罪悪感の薄さとかだ」

へぇ、そうなんだ。

「サイコパスは、男性の３％、女性の１％が該当するといわれていて、日本全体でみればその数は150万人にものぼる」

わっ、結構多い！

自分で聞いといてなんだけど、サイコパスの話を聞いてたら、だんだん怖くなってきた。

怖い話をしてたらお化けが寄ってくるって言うし、こういう話してたら犯罪者とか寄ってきそう。

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