第40話『あいつ、カッコいい』 ページ15
杏奈side
みんなの驚いた声が聞こえたらしく、七鬼くんはサラッと髪を揺すって首を横に振った。
「いや、まだ途中なんだが、話がある」
とても暗い表情だったので、よほど深刻なことがあったのだろうと思ってしまう。
どうしたんだろう。
「実は、」
話出そうとする七鬼くんを、若武くんが咎めるような声で遮る。
「おまえさぁ、何、勝手にくっちゃべってんだよ。俺たち、調査始めようとしてるとこなんだ。それが終わったら、おまえの相手もしてやるからさ、引っ込んでな」
若武くんの態度、めっちゃ悪い。
そんな言い方したら、七鬼くんも気分を悪くしちゃうよ。
「じゃあな」
そう言って若武くんは妖怪パソコンの電源を落とし、清々するといったように両腕を大きく伸ばした。
でも皆は私と同じ気持ちだったみたいで、じっと若武くんを見つめたままだった。
「な、んだよ」
注視されていることに気づいた若武くんはアタフタしたけれど、すぐにリーダー風を吹かせた。
「調査開始って言ったろ。さっさと行けっ!」
皆で若武くんの家の玄関を出ると、黒木くんが私にスマートフォンを見せた。
「例の家って、このあたり?」
「うん。ここだと思う」
黒木くんは、美門くんを振り返る。
「美門も見とけよ。行くんだろ」
美門くんが画面を覗き込み、位置を確認した。
「了解」
黒木くんはページを閉じ、ズボンの後ろポケットにスマホを差し込む。
「じゃ俺、あの家の登記関係、調べに行くから」
片手を上げ、身をひるがえしかけた途端、その二の腕を上杉くんが掴んだ。
「今日、土曜日だぜ。登記所、休みじゃん」
黒木くんは、艶やかなその目にふっと笑みを含む。
「登記を調べられる所は登記所だけじゃないって。上杉先生、まだまだガキだね」
そう言いながら軽くウィンクすると、長い脚を伸ばして自分の自転車にまたがった。
「じゃ、次の会議で会おう」
走り去るその後ろ姿を、上杉くんは少し頬を赤らめて見送る。
「あいつ、カッコいいな、くやしいけど」
私もそう思う。
黒木くんは大人っぽいからね。
「俺も、行くよ」
自転車に乗りかけた美門くんに、小塚くんが声をかけながら歩み寄る。
「ちょっと聞いて欲しいんだけど。上杉も、アーヤと神崎も聞いてよ」
なんだろ。
それで私たちは、美門くんの自転車の周りに集まった。
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?かなかな - よろしくお願いします!澪さん!美門くんは誰がみてもかっこいい(笑)確かにかも😊外見だけじゃなくて、中身もいいもん!美門くんはまわりに気を配ったりもしてるからさらにね。なんか、あったことあるみたいになってる(笑) (2021年10月26日 19時) (レス) id: d59fc0899f (このIDを非表示/違反報告)
澪(プロフ) - ?かなかなさん» 名前の読み方は「みお」です!美門はもう誰が見てもかっこいいので私もすごく好きです笑 (2021年10月24日 11時) (レス) id: 7aa13dcf7f (このIDを非表示/違反報告)
?かなかな - 凄い!見てみたら、お話増えていたし、澪さんから、お返事きてた!ちなみにこの『澪』って、どう読むんですか?「みお」とかですかね?それにしても、澪さんも美門君好きですかぁ〜。やっぱり人気な方ですね。美門君。私は、どっちかというと美門君の考え方に憧れてる? (2021年10月24日 10時) (レス) @page41 id: d59fc0899f (このIDを非表示/違反報告)
澪(プロフ) - 環さん» たまちゃんありがとう!今回は恋愛の絡みいっぱいにしてみました!喜んでもらえて嬉しいです! (2021年10月23日 12時) (レス) id: 7aa13dcf7f (このIDを非表示/違反報告)
環(プロフ) - 澪ちゃんんんんん!最高、神レベルの最高!!!!!きゅんきゅんだよお!!最近いっぱい更新してくれてありがとう!!楽しみにしてますっ!!!!! (2021年10月23日 10時) (レス) @page41 id: 940f9d3174 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:澪 | 作成日時:2021年7月6日 22時