第50話『積極的』 ページ6
杏奈side
「だから追い詰めて自白させようと思ったわけ。あの張り紙は、そのため。これからも続ける気でいたんだけどね。ちょっと挫折、かな」
それはよかった。
「よし記録係、この事件を整理して発表」
若武くんに言われ、彩ちゃんはいつものようにノートを読み上げた。
すると、東条さんは目を丸くする。
「あなたたちってずいぶん、慣れてる感じだよね」
若武くんが自慢げに、親指で鼻の先をこすった。
「そりゃ、プロですから」
すると、彩ちゃんがつっこんだ。
「プロっていうのは、それで収入を得ている人の事。KZ活動は、まだ1度も収入につながってないから、私たちはプロとは言えないと思う」
若武くんが不満そうに口をとがらせた。
「じゃ、なんて言えばいいんだよ」
彩ちゃんはちょっと考えてから答える。
「アマ、としか言えない」
「カッコつかねーじゃんっ!」
まあ、仕方ない・・・。
「よし俺と小塚で、週末に石代に行ってくる。北原美麗が落ちた階段など、いろいろと現地を調べて真実を明らかにするんだ」
私は素早く言った。
「それ、私も行きます!」
みんなが、ちょっと驚いた顔で私を見た。
私は首を傾げる。
「ダメだった?」
黒木くんが首を横に振って、私に笑顔を向けた。
「そんなことないよ。ただ、神崎が自分からそういうこと言うのって、すごく珍しかったから驚いたんだ」
そんなに珍しい?
「いつもは、ちょっと遠いところからみんなを見守ってる感じがして、一線引かれてる気がするけど。今はそれがなくなって、いい意味で積極的になったな」
甘い瞳で見つめられ、私は少し頬を赤くする。
黒木くんが組んでいた腕を解き、両手を膝についた。
「俺も行く。人数は多い方がいいだろ」
美門くんも同意する。
続いて彩ちゃんも。
「盛り上がってるとこ、悪いけど」
東条さんが私たちを見回し、皮肉な笑みを浮かべた。
「上杉の犯行を証明するだけになると思うけど、ね」
黒木くんが、東条さんよりさらに皮肉な笑みを返す。
「それは、どうかな。まぁ、結果をごろうじろってとこだね」
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じゃんけんぽんのあいこでしょ - (付け足し)今は黄金の雨は知っているまでしか持っていないけど、もう妖怪パソコンは知っているまで読みました。面白すぎます!! (2021年12月11日 7時) (レス) @page25 id: 332cd5a7b6 (このIDを非表示/違反報告)
じゃんけんぽんのあいこでしょ - 面白くて本を買っていないところまで読んでしまいます。オチ美門君がいいと思ってます! (2021年12月11日 7時) (レス) @page17 id: 332cd5a7b6 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃこ - すごく面白いです!オチは翼がいいです (2021年7月10日 12時) (レス) id: 3464283e0f (このIDを非表示/違反報告)
Snow(プロフ) - いつも楽しみにしています!オチは翼がいいです (2021年6月25日 7時) (レス) id: 1bc28cf27b (このIDを非表示/違反報告)
美麗 - いつもありがとう!オチは、翼がいいです。 (2021年6月11日 23時) (レス) id: bde687998f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:澪 | 作成日時:2021年3月17日 23時