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第25話『富豪』 ページ8

杏奈side


「それ、疑問点として書いとけよ」

上杉くんに言われて、彩ちゃんがそれを事件ノートに書き込んだ。

小塚くんが横から覗き込む。

「あと、僕達が会った人数3人と、警察発表の人数2人って、気になるよね」

そうだよね。

こう考えると、いっぱい謎があるんだなぁ。

なんか、事件って感じがしてきた。

KZってこんな感じで捜査開始していくんだ。

すごいなぁ。

「で、今後だけどさ、やっぱり小塚の分析が出てから動くってことになるわけ?」

若武くんが小塚くんに目を向ける。

「小塚、急げよ」

頷く小塚くんを見ながら、黒木くんがふっと微笑んだ。

「やることは、他にもあるよ。しかも重大な事だ」

え、なんだろ。

「アメリカのサイト情報によれば、赤い仮面団は、アメリカとフランスに本拠地を持ってる。フランスの拠点は、マルセイユだ。ここは世界最大の貿易港の一つで、大きなドックもあり、フランスの全船舶の半数以上を修理している。いろいろな国の人間が出入りするから、外国人でも目立たなくて、犯罪の足場にするにはぴったりなんだ。ところで、この街の名前、最近、俺たち聞いてるよね」

私たちは一斉に頷いた。

それは、翔に出資したっていう日本人富豪の本社のある街だった。

「マルセイユを拠点とする商人たちは、組合を作って細かな情報も共有してる。砂原に接近して、その富豪を紹介してもらおう。赤い仮面団の拠点が本当にマルセイユにあるとしたら、その富豪の情報網に引っかかってるはずだ。聞けば、必ず詳しいことがわかる。ハリー・ウィンソルの窃盗と美門、神崎の襲撃の方は、模倣犯かもしれないけど、この際、本物の赤い仮面団にも肉薄しておこうぜ」

上杉くんの冷ややかな目の中で、用心深そうな光がまたたく。

「だけど、その富豪って、日本にいないんじゃね?本社、マルセイユなんだろ」

黒木くんはもちろんというように頷く。

「日本にいなくてもいいさ。会う必要はない。砂原に紹介してもらって、電話やメールでやり取りするだけで、情報入手は可能だ」

黒木くんって、頭の回転がすごく早い。

「よし、今度の土曜日、KZからのCEO就任祝いを持って、砂原に会いに行くぞっ!」

そう言った若武くんは、とっても嬉しそうだった。

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(プロフ) - 紗奈#さん» ありがとうございます! (2020年7月26日 16時) (レス) id: 2b665a7700 (このIDを非表示/違反報告)
紗奈#(プロフ) - 続編嬉しいです!頑張ってください!! (2020年7月26日 11時) (レス) id: 6ea719cde4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年7月26日 0時

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