第14話『若武』 ページ15
彩side
その日、秀明に走り回ったニュース。
私が秀明に行くと、玄関を入った時から、あちらこちらに塾生が集まっていて、みんなが真剣な、あるいは興味深そうな顔でコソコソと話していた。
「これから、どうなるんだ、あいつ」
誰のことか全然分からなかったから、その時は、私も、あまり気にしなかった。
そのまま自分の教室に行ったんだけれど、その途中の廊下でも、教室の中でもみんなが話していて、そのうちに若武っていう単語が耳に入ってきたんだ。
こういう声も聞こえた。
「これで若武、つぶれちまうんじゃないの」
私は、頭から一気に血が引いていくような気分になった。
若武の身に、何か起こったんだ!
でも、いったい何が!?
誰かに聞きたかったけれど、教室の中にいるのは、今まで話したことも無い塾生ばかりだった。
いきなり近寄っていって聞くことなんてできない。
それより若武の身近にいる上杉くんとか、小塚くんに聞いた方が早いし、確実だった。
そのためには、アッパークラスまで行かなきゃならない。
秀明は、成績順のクラス編成で、私のクラスは、1階。
KZのメンバーは、たいてい最上階の教室にいた。
でも聞かずには、いられない気分だった。
事実を知って、手を貸さなくっちゃ!
私は、休み時間に上の階まで行く決心をした。
その直前に、はっと気づいたんだ。
自分が、黒木くんに貸してもらった携帯をまだ持っていることに。
会った時に返そうと思っていたんだけれど、あれ以降、全然、集合がかからなかったから、そのままになっていた。
よし、これで聞いてみよう。
黒木くんちの家電って、いつも留守番電話で、本人も家族も出たことがないけど、さすがに携帯なら出るだろう。
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アーヤ(プロフ) - 住滝良さんのと、少し文が違って「ここ、本文あれだったよなw」って楽しいです! (5月11日 21時) (レス) @page47 id: d9605ef4e5 (このIDを非表示/違反報告)
アーヤ(プロフ) - すごく面白いです!このまま、ストーリ続けてください。(あれ、完結してたっけ?)少しだけわがまま言うと、kzの皆は彩の親友(恋人?)ダァーッ! (5月11日 21時) (レス) @page37 id: d9605ef4e5 (このIDを非表示/違反報告)
桜@ひなた - 面白すぎです!私はアーヤと若武推しです! (2023年2月12日 10時) (レス) id: fb711c9d23 (このIDを非表示/違反報告)
澪(プロフ) - まこさん» ありがとうございます!!黒木くんかっこいいですよね! (2020年10月30日 23時) (レス) id: 2b665a7700 (このIDを非表示/違反報告)
まこ - すごく面白いです! 私も黒木くん推しです! 更新待ってます! (2020年10月30日 17時) (レス) id: e335c0e9f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:澪 | 作成日時:2020年3月13日 20時