笑顔の仮面は知っている【探偵チームKZ事件ノート】

第7話『早朝登校』 ページ8

彩side

杏奈ちゃんと翼の騒ぎがあった日から数日が経った。

私はその日、いつもより早く学校に来ていた。

前の晩、秀明の復習に時間がかかって学校の宿題まで手が回らなかったから、早朝登校してまとめてやってしまうつもりだった。

駅まで行って、ちょっとびっくり。

それまで工事中だった駅の裏側のビルが、すっかり出来上がってシートが取れていた。

全体がメタリックで、キラキラ光っていて、窓枠の部分が階によって色違いになっていてね、とってもオシャレなファッションビル。

駅に直結だから、きっと色んなお店が入るんだろうな。

そう思いながらよく見れば、窓ガラスには、まだテープが貼ってあった。

きっとどこかに、いつオープンするのかを書いたポスターが出ているに違いない。

かっこいいカフェとか、入るといいな。

そう思いながら改札への階段を上ろうとすると、その下に並んでいる吉牛やうどん屋さんの店の前に、店員さんたちが集まっていた。

いつもは、誰もいないのに。

「困るんだよね、こんなとこに捨てられちゃ。」

私は最初、ゴミの話だろうと思った。

でも階段を上りながらちらっと目をやると、なんと段ボール箱に入った子猫だった。

たくさんいたけれど、どれも毛色は黒。

生まれて、2、3週間といった感じだった。

「早く保健所を呼ばないと、元気だから箱から逃げ出しそうだよ。もう逃げ出しているのがいるかもしれないし。」

「店にでも入られたら大変。急いで電話してくる。」

可哀想だと思いながら、私は駅の階段を上った。

どうして飼い主は、きちんと考えて飼わないんだろ。

悲しみより怒りを抱きしめて、ホームまで降り、来た電車に乗ったんだ。

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