笑顔の仮面は知っている【探偵チームKZ事件ノート】

第27話『結婚』 ページ28

杏奈side


そんなこんなで、美門くんの親戚さんのお店がある最上階に到着する。

エレベーターホールからまっすぐな廊下でつながっている突き当たりに、大きなショーウインドーがあり、金色の事でｍ＆ｍと書いてあって、そこにずらっとお姫様ドレスを着たマネキンが並んでいる。

デザインも色も、多種多様。

純白や淡いピンク、強烈な赤から紫、グリーン、青、黒、ゴールドやシルバー。

どれもスカート部分が長くて、足首まで隠れるくらいあって、とても華やか。

襟元や肩には、透明なレースやフリル、リボンがふんだんに使われていて、スパンコールやクリスタルビーズで飾られ、全体がキラキラと輝いていた。

「これ、何？」

上杉くんが呆然とした表情で聞き、若武くんが得意げに説明した。

「ドレス。結婚式や披露宴、ステージやソーシャルダンスの発表会で着る。ここは高級フォーマルドレス専門店なんだ」

彩ちゃんがうっとりしながらドレスに近寄った。

彩ちゃん、こういうの好きそうだもんね。

私は、興味が無いわけじゃないけど、実際に着る機会もそうそうないし、見てても虚しくなりそうだからあんまり見ないタイプ。

「小塚は、結婚する時、結婚式って、する？」

「するよ、彼女の花嫁姿、見たいもん」

「どこですんの？」

「ホテルかな？」

「俺、絶対、神社」

「え、上杉って、神様、信じてんの？」

「そうじゃない。ホテルって、潰れることあるだろ。今の日本の首相が打ち出してるアベノミクスって結構、不安定だから経済の変動があるかもしれない。そしたらどんな大きなホテルだって、倒産の危機にさらされる。それで潰れたら、後には何も残らないじゃん。神社だったら、絶対に潰れない。日本が存続する限り、存在し続けるんだ。だから神社」

「つまり上杉先生は、自分たちが愛を誓った場所が永遠であってほしいと願ってるんだろ」

「へえ、意外にロマンチストだよね」

上杉くんを見ると、頬が少し赤くなっていた。

なんだか可愛い。

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