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第26話『かっこいい人』 ページ27

杏奈side


土曜日。私は1人でビルの通用口に来ていた。

でも、鍵がかかっていて開かない。

どうすればいいんだろ。

私が困っていると、後ろから名前を呼ばれ、振り返ると、黒木くんと彩ちゃんがいた。

「こんにちは、黒木くん。彩ちゃん。」

黒木くんって大人びた雰囲気をしているから、なんだか上手く話せない。

「いきなり私まで来ることになってすみません。迷惑じゃなかったですか?」

「全然大丈夫だよ。可愛い子が来てくれて、嬉しいよ」

片目をつぶってそう言う黒木くんに、胸が高鳴る。

かっこいい人だなあ・・・。

「あ、あの、ここ開いてなくて・・・」

彩ちゃんが黒木くんに目を向ける。

「もしかして万能キーオープンの出番ってこと?」

黒木くんは眉を下げる。

「まさか。持ち歩いてないよ」

万能キーオープン?

なんだか、いろんな用語があるみたい。

「若武先生を呼んでみよう」

スマホを出し、若武くんに電話をかけ始める。

後ろから、小塚くんの声が響いた。

「あ。アーヤだ。早いね」

振り向くと、小塚くんが上杉くんと一緒にこちらにやってくるところだった。

彩ちゃんの隣で、黒木くんが言った。

「今、前まで来てるんだけどさ」

瞬間、そのドアが音を立てて開き、中から若武くんが顔を出した。

私はドアの前にいたものだからびっくり。

至近距離に若武くんの顔があり、ぼっと頬が熱くなる。

「わ、悪ぃ!」

若武くんも頬を少し赤くして顔を逸らす。

「い、いえ・・・」

びっくりした・・・。

若武くんの話によると、ここのドアはどうやらカードキーらしい。

ドアの奥にはまっすぐな廊下が続いていて、脇にエレベーターがあり、従業員専用と書かれていた。

「乗って」

若武くんに言われて乗り込む。

これは、カプセルみたいな形をした透明なエレベーターで、外側が赤や青のランプで飾られ、上がっていくにつれてそれが点滅するようになっていた。

可愛くて、私はすっかり気に入ってしまう。

「アーヤと神崎、嬉しそうだね」

黒木くんに言われて、私と彩ちゃんは顔を見合わせてにっこり。

「可愛いんだもの」

彩ちゃんの言葉に、上杉くんが信じられないと言ったような顔で、まじまじとこちらを見た。

「エレベーターが可愛いなんて、お前ら、おかしくない?」

上杉くんって、デリカシーがあんまりない・・・。

第27話『結婚』→←第25話『仲間になりたい』



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アーヤ(プロフ) - 住滝良さんのと、少し文が違って「ここ、本文あれだったよなw」って楽しいです! (5月11日 21時) (レス) @page47 id: d9605ef4e5 (このIDを非表示/違反報告)
アーヤ(プロフ) - すごく面白いです!このまま、ストーリ続けてください。(あれ、完結してたっけ?)少しだけわがまま言うと、kzの皆は彩の親友(恋人?)ダァーッ! (5月11日 21時) (レス) @page37 id: d9605ef4e5 (このIDを非表示/違反報告)
桜@ひなた - 面白すぎです!私はアーヤと若武推しです! (2023年2月12日 10時) (レス) id: fb711c9d23 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - まこさん» ありがとうございます!!黒木くんかっこいいですよね! (2020年10月30日 23時) (レス) id: 2b665a7700 (このIDを非表示/違反報告)
まこ - すごく面白いです! 私も黒木くん推しです! 更新待ってます! (2020年10月30日 17時) (レス) id: e335c0e9f3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年3月13日 20時

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