【歌い手】ライブやイベントに一切出演しない爆発的人気を誇る歌い手が逆ハー(乙女ゲー)を回避しそこねそうになる話

七十四話 気づかないで ページ33

天月side


彼女はとても不思議な子だ

いつも毒舌と正論を持ち合わせているのが特徴的で、頭脳も見た目もバッチリの子

けれど、関わることをあんなにも嫌がっていた彼女が自ら自分と接し、他人と接したのだ

それはきっと彼女の中で何かが変化しているのだと思う


強くて、繊細


細い髪の毛を揺らして、黒フードを着けたまま僕の背中で眠っている


一応、今日限りで教員は終わりだけど、前に彼女の書類を見たので住所はわかっている


多くの歌い手と携わったことできっと彼女自身が変わりつつあるのか、それともないのか

僕にはまだ分からないけれど、きっと″本当に″笑ってくれる時が来るのを″僕ら″はじっと、待つしかないんだろうな


夕日が強く燃えていた


_____ _____



とりあえず、鍵を Aちゃんの鞄から取りだして部屋を開ける

几帳面だなぁと思わせる部屋

当たり前だよね、なんでもできちゃう子だし


『……』


ソファにとりあえず寝かしておく

ずっといるわけにもいかないので、出ていこうとする、と

ｸｲｯ


袖に違和感を感じて見てみると


ｷﾞｭｯ

掴んでらっしゃる！！

え、え、？いいのか、いつも甘えないこんなツンツンな子がこんなにもあざとくていいのか！？


一瞬脳内がおかしくなった所で、冷静に戻る


本当、こういうことをされるから…_____



_____調子狂うんだよな









額に、かする程度の口付けをしてその場を後にした









Aちゃんは起きることもなく、ぐっすりと眠っていた

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