烏野高校男子バレー部白昼堂々痴漢事件【HQ】

【09】可愛いぴえんは乙女の特権 ページ9

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　正直叩き起こそうか迷ったという縁下力くんの恐ろしい発言を聞かなかったことにして、聞けば聞くほど全員どこかで可能性があるのがやたら面倒だな。迷宮への扉は開かれつつある。いや、分かっているのだ。スガさんの時にも言ったが小説のように完璧なアリバイを持つ人間なんてなかなか居ない。分かったうえで私は戦うのだから。


月島はウォータークーラーで水を飲んだ後、手洗い場で頭から水を被っていたらしい。照らし合わせてみれば事件が起きた瞬間もそこに居たのだと言う。その手洗い場も部室棟の真横なのだが、いかんせん水を被るという行為は視界は無論のこと何より聴覚が完全に塞がれる。仮に逃走する犯人が近くを通ったとしてあからさまなアクションが無いと気がつけないだろう。



「月島は何か気がつかなかったの？」
「……誰かが通りかかったような気もします」



耳にゼロ距離で流れる水の音は相当デカく響く。私だってシャワーで頭を流してる最中に声をかけられたら反応できないと思うし。ていうか眼鏡外してる時点でおしまいでは？ 無力だったんだなと同情がちな視線で煽りまくれば死ぬほどムカつく顔で応戦してきて大地さんに止められた。



「Aも大人げないことするのはやめなさいね」
「は〜い🥺」



　一時休戦だ月島。恐らく足音の響きなんかで誰かが通るのを僅かに感じたのだろうけれど、それが誰なのかまでは勿論特定できない。当時は部員の誰かだと思ったのだろうな。実際どうか分からないので否定もできないのだが。


まあそもそもお前が犯人で出た瞬間手洗い場へ行ったとかの可能性もなくもないけどね。大地さんの気が他へ向いた隙に月島へ最高の変顔と煽りを見せておく。大地さんがこっちを向いた瞬間は自分史上最強にプリティな顔を見せ誤魔化した。(見ていた縁下は引いていたしスガさんは爆笑した)


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