【カゲプロ】 初代【冴える】 と 現役【冴える】~Part3~

115章　　君の瞳 ページ29

ﾐｰﾝﾐﾝﾐﾝﾐｰ･･･


セミの声、木々が風にゆれザワめく音


森に入ったはいいけれど、どこにいるのか皆目検討もつかない


そうやって路頭に迷ってたときだった


ひとつの小屋を見つけた


小屋のドアノブに手をかけようとしたときだった


うしろから、誰かに抱きしめられた



　

A「うわっ!!??」


クロ「寂しかった・・・」


A「クロハ・・・!」




クロハは強く私を抱きしめた


そんなクロハの腕からなんとか抜け出し、小屋のドアに寄りかかる


小屋の中から、かすかに感じる人の気配





A「みんな、ここにいるの?」


クロ「あぁ、じゃあ帰るぞ」


A「え、ちょ、皆を解放しないの!?」


クロ「は?なんで?」


A「なんでって・・・」


クロ「・・・心配しなくても、殺しはしねぇよ」



　


「ただ“躾”をしてるだけだ」と言って、私の手を引き小屋から離れようとする


私は抵抗することなく、クロハに腕を引かれるがままだった


なぜ抵抗しなかったのか・・・それはきっと、見たくなかったから


どんな顔をして、みんなに会えばいいのかわからなかったから


・・・・私は弱虫だな






A「・・・みんなはずっと、あそこで暮らすの?」


クロ「いや?“躾”が終われば、ちゃんと解放してやるよ」


A「皆のこと、傷つけてないよね!?」





クロハはピタッと止まり、私のほうにクルッと向き直った


その表情は、怒ってるような、それでいて悲しんでるような


そんな表情だった





クロ「高山はまだしも、お前をいじめてた奴の心配をする必要あんのか?」


A「根は良い子達なんだよ、ただ、クロハが好きなだけなんだよ・・・」


クロ「・・・」




　
クロハは俯いて黙り込んだ、そしてゆっくりとこちらに倒れこんできた


突然のことで私もパニックになり、なんとかクロハを支えようとするが、それもかなわず


私はクロハとともに枯葉の山にたおれこんだ


クロハは私の上に乗ったまま退けてくれなかった、肩をゆすっても反応がない




　
A「く、クロハ!?大丈夫!?」


クロ「・・・(ﾎﾞｿｯ」


A「?」


クロ「どうすれば、Aは俺だけを見てくれる?」


A「え?」


クロ「二人しかいない場所に鎖でつなげばいいのか?そうすれば、お前は俺だけを必要としてくれるよな?」


A「クロハ・・・」




　


クロハはゆっくりと私の手に自分の指を絡める


クロハの瞳には、私しか映っていなかった

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