星と記憶-S-O- (ページ36)

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何かを言おうとしたのを遮ったのはピピピという音

翔くんの腕時計からの音だった

『……もう、お別れです。』

「………そっか。」

あぁ、死ぬんだ。

でもね、後悔はしなかった

『このまま、後ろを振り向かないで走ってください』

「……お別れ」

『僕の気持ちが変わる前に行ってください！』

初めて、大声を出した

『僕も………あなたに逢えて良かった。

このままお別れなんて嫌です。けど！

これは“変えられない”ことです

仕方ないのは分かってます。だから……

先に行っててください』

先に………

「分かった。

待ってる。」

翔くんの瞳はまっすぐ俺を見つめ

ふわりと微笑んだ

『本当に、さよなら。』

「本当に、さよなら。」

まさが最期が小学校の前なんて思わなかったけど、きっとこれも運命

初めて翔くんと逢った場所、そして

人生で最期に逢った場所になったんだ

『翔くん。また。』

「智くん。また。」

久しぶりに呼んでくれたね、智くんって。

それだけでもういいや

俺は何に導かれるように振り返って走り出した

絶対、また逢える。