＃293 ページ48
翔くんが男子たちを部屋へ送って行ったのを見届けて「あー…じゃ、お前らも早く寝ろよ」って言って、Aちゃんのいる部屋を出た。
Aちゃんの顔は見れなかった。
分かってるんだけどね、普通のことだって。
おれだって、高校の修学旅行ではその時付き合ってた彼女の部屋に忍び込んだり、女の子の部屋で遊んだりしてたんだから。
修学旅行で同級生同士がワーワー騒ぐのなんて当たり前のこと。
なのに、なんだ。おれのこの余裕の無さは…(笑)
小林が言ってた意味わかんないヤキモチって…こういうのなんだろうな。
いい大人がこんなことでヤキモチ焼くなんてって、Aちゃんは呆れてんだろうな。
そう思うと、彼女の顔なんて見れなかった。
先戻っとくか…
あー、早く飲みてー
その前に一服…
と思って喫煙所に行くと、隣の自販機の前に川崎がいた。
「なにやってんの？」
茉「あっ、大ちゃん」
おれの声に笑顔で振り向く川崎。
「お前ね、さっき部屋戻ったろ？」
茉「じゃんけんで負けてさー、飲み物買いに来たの。見つかったのが、大ちゃんで良かった」
「良くねーよ。買ったら戻れよ」
茉「うん。あっ、大ちゃんも飲む？」
「奢ってくれんの？」
茉「いいよー」
どれにする？って、おれの腕を引っ張りながら自販機の前に連れていく川崎。
「うそだよ(笑)部屋戻ったら、ビール飲むし」
茉「えーー、お酒飲んでいいの？」
「言うなよ」
茉「じゃ、茉奈って呼んで？」
はっ？なんでそうなんの？
「やだよ」
茉「ビール飲んでたって、学年主任に言うからね」
「言うなよ。去年もバレて、めっちゃ怒られたんだからな」
茉「じゃ、茉奈って呼んで」
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作者名：Haruno*
| 作成日時：2017年1月15日 8時
