＊マイガール６＊ (ページ19)

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＃264 ページ19

ホームルーム終わりの翔くんが職員室に戻ってきた。

「おかえりー」

S「智くんのクラスはなんでホームルームが早いの？」

「えー、分かんない」

S「俺、喋りすぎなのかな」

「楽しそうな笑い声がいつも聞こえるもんね」

その声を聞くたびに、Aちゃんも笑ってるのかなって思って、翔くんが羨ましくなる。

持ってきた書類をドサッと机に置いて、大きく背伸びをしながらおれに話しかける翔くん。

「そういえばさ、修学旅行の自主研修の行き先とか班とか決めた？うちのクラス、今決めてきたんだけどさ」

そうか…
もうそんな季節か。

「んにゃ。まだ」

S「えっ、間に合う？もうあと２週間だよ？」

「大丈夫だろ。見せて」って、翔くんのクラスのグループ分けとそれぞれの行き先の書いた紙を受けとる。

あー、やっぱり山田と一緒か。
自由行動も一緒なんだろうな。
あー、くそ。羨ましい。

ん？バスの座席表？

おいおい…バスまで山田が隣かよ。
勘弁して…

「翔くん、バスの席まで決めたの？」

S「うん。ガチャガチャなんの嫌いなんだよね」

「へー」

S「えっ、智くん決めないの？」

「決めない。当日にガチャガチャすればいい(笑)」

ガチャガチャがよくわかんねーけど…
当日に生徒たちが勝手に決めるでしょ。

S「職員の部屋割り、智くん、俺と一緒にしといたから」

「飲もーね」

S「あなた、何しに行くのよ(笑)」

「先生も楽しまなきゃ」

あははははって笑った翔くんは部活に言ってくるって職員室を出た。

おれも準備室行くかなーと思って、机の上を整理していると…通知を知らせる振動が。

『準備室で待ってる。今日、部活に来る人いないみたい』
って、Aちゃんからのメッセージ。

学校が始まって、バイトが土日のみになったから、毎日部活に来ている。

他の生徒がいるときは美術室で大人しく絵を描いてるんだけど、誰も来ないって分かるとおれのいる準備室で過ごすようになった。

絵を描いたり、本を読んだり、宿題したり…
同じ空間でそれぞれ違うことをしてるんだけど、側に彼女の気配を感じるだけで落ち着く。

さぁ、行くかな。
でも、今日はもうやることねーんだよな。

自販機で２人分の飲み物を買って、Aちゃんの待つ準備室へ急ぐ。