＃110 ページ12
N「おおのさーん、いる？」
ニノの声で、振りほどかれた手。
右手に残る彼女の温もり。
はぁー。
Aちゃんが美術室に入るのが見えて、もしかしたらこっちに来るかもと思って寝たフリして待っていた。
聞こえてくるノックする音…
近づいてくる彼女の気配…
微かに香る甘い匂い…
『せんせい…』
小さい声なのに耳の奥に響く彼女の心地よい声…
弱く握られる手…
あの夏の日の記憶が蘇ってくる。
あの日、思わず抱き締めた彼女の華奢な体…
頭の中がこの子に支配される…
前にもあったな、この感じ。
あの時はAちゃんが寝てたんだっけか。
弱く握られた手をぎゅっと握り返してみる。
目、開けてみようかな。
どんな顔すっかな？
驚く？それとも笑ってくれる？
おれ、きみのことスゲー好きなんだ…
そう言ったら、きみはどうするかな。
驚く？喜ぶ？それとも泣くかな…？
Aちゃんがいなくなって、ニノが部屋に入ってくる。
N「いるなら返事しろや」
「あ"ーーー」
声を出して、頭を掻きむしる。
N「えっ、怖いんですけど…(笑)」
「なに？」
ちょっと不機嫌な感じでニノを睨んでしまう。
完全に八つ当たりだな…
何かに気づいた様子でしゃがみこむニノ
N「もしかして、邪魔した？」
そう言ったニノの手には、いつもAちゃんが手につけているフワフワしたゴムが握られていた。
N「これ、誰の？」
「知らね」
N「じゃ、事務に届けとく？」
「………」
ニノを見上げると、いつものあの憎たらしい顔…
「いい。おれが届けるから」
N「あっそ」
ニノからゴムを受け取り、自分の手につける。
N「会議だってよ。体育祭の最終確認っつたかな？」
「ん、わかった」
おれの手を見つめて、
N「お前、それ手に付けてくの？」
「ダメか？」
N「いや(笑)バカだなーと思って」
「バカって言ったやつがバカなんだぞ」
ニノと2人、準備室を出る。
Aちゃん、帰ったかな？
「先行ってて」
ニノにそう告げて、美術室を覗く。
いねーか…
これ、どうすっかな？
ずっと手につけてたら、Aちゃん気付くかな。
おれの手に付けられたゴムに気付いた時、きみはどう思うんだろう…
いや、その前に他のやつらにつっこまれてめんどくせーか(笑)
ゴムをポケットに入れて職員室に向かう。
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Haruno(プロフ) - ゆうもも☆様…コメントありがとうございます！立花先生、まだお別れに納得してませんからね…皆さまに楽しんで頂けるよう、妄想に妄想を働かせ(笑)頑張りたいと思います！ (2016年11月29日 17時) (
レス) id: 8a2baf9fbe (このIDを非表示/違反報告)
ゆうもも☆(プロフ) - はじめまして！んー立花先生が気になります。絶対何かやらかしそうな感じ。不気味だなぁって………。気持ちが通じてるけど、まだ高校生だもん。揺さぶられそうで……。次回を楽しみに待ってます！！ (2016年11月29日 16時) (レス) id: 4bb7c760d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Haruno*
| 作成日時：2016年11月14日 2時
