夜の襲撃 弐 ページ23
side 月
「鬼、見つかったか？」
「いえ、ここら辺にはいない様ですね」
私は、今、太陽さんと協力して、鬼の一組を探している最中である。
組み分けで、太陽さんと一緒にされたのは、正直驚いた。
太陽さんは、私よりも遥かに実力があるし、呼吸も使える。
私はまだ一度も呼吸が使えたことはないし、刀を振るう才能も、当然劣っているのだ。
だからこそ、太陽さんは、親分と戦う方へ回されると思っていた。
「なあ、月」
「はい？」
考えているところを、太陽さんの質問で遮られる。
「どうしてお前は、俺たちの目の前では呼吸を使えない、なんて、嘘をついているんだ？」
草むらに体を預け、太陽さんが座り込む。
私は、草をかき分ける手を止めて、太陽さんの方を向く。
「またその話ですか。………嘘は、断じて一つもついてませんよ」
しっかりと、今まで言ってきたことを繰り返す。
そうなのだ。太陽さんは、入隊試験の終わった日、崖から落ちた時からずっとこの話をしてくる。
最初は、からかっているのかと思っていた。しかし、明かに眼が真剣で、本気で聞いてきているのだと感じた。
あの日、崖から落ちた時、実は少し記憶が曖昧なのだ。
昨日だってそうだ。Aさんを助けようとしたときの記憶は、靄がかかった様に、上手く思い出せない。
でも、私には、まだ、呼吸は使えていない。それだけは、心の中で、強く感じている。
だから、太陽さんの目を見て、はっきりと言う。
「私は、太陽さんみたいに、まだ呼吸は使えない。それは、ちゃんと自覚してるんです。今まで、鬼を倒そうと思っても、太陽さんに助けられているだけで、私は、戦えていませんでしたから」
「お前は、どうしてすぐにそうやって自分を否定するんだ」
「だから、できないのが分かってるからですよ！」
「まだ決まった訳じゃないだろう」
「太陽さんみたいに、修行を始めた途端にできる様な才能がある人に何が分かるんですか？」
太陽さんの顔色が、ふと陰った。
言い過ぎたかもしれない。
幼い頃から、私は太陽さんと比べられては、お前は駄目だと言われてきた。
太陽さんが、冷たい態度をとるのは、私と比べられたって、無意味だと感じているからかもしれない。
その時。
*生け捕りか？*
*否、男は殺せとの事だ*
「向こうから出てきたか。……揉めてる場合じゃ無いな」
「そうですね。…切り替えて行きましょう！」
お互いに苦笑いを浮かべ、私たちは駆け出した。
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ココロ - 8000hitありがとーございます！ (2020年4月3日 18時) (
レス) id: 7279136435 (このIDを非表示/違反報告)
ココロ - まさかの5000hitありがとうございます。評価も、少しですが上がっていて、嬉しかったです…！ (2020年3月11日 11時) (レス) id: 7279136435 (このIDを非表示/違反報告)
ココロ - 2000hit,有り難うございます！ (2020年2月29日 18時) (レス) id: 7279136435 (このIDを非表示/違反報告)
ココロ - 1000hitという文字をこんなに早く見るとは思ってませんでした……ありがとう御座います！ (2020年2月22日 17時) (レス) id: 7279136435 (このIDを非表示/違反報告)
ココロ - 260hit,ありがとうございます！ (2020年2月21日 14時) (レス) id: 7279136435 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ココロ | 作成日時：2020年2月6日 19時
