十七日目 ページ17
「なぁ、Aちゃん。言うてもええ？」
『別にいいけど、なんで？』
「コイツら、探してまうわ」
『...いや、鬱。探さないよ。
知ってるよね、えーと』
名前なんだったっけ、と口を閉じるAに疑問そうに鬱は首をかしげた。
「...バレとるんですね」
小さくため息をつきながら手にしていた本を閉じるエーミール。
「なーんや、つまらんなぁ」
唇を尖らせながらも楽しそうにするチーノ。
『そう、そこ二人。酷いよね、女子の深いところまで調べるなんて』
「その言い方やめてください！」
顔を真っ赤にして返すエーミールにAは口角をあげ笑った。
『あー、おかし。でも、事細かに調べていたのは事実でしょ？』
急に冷たい目線になるAにエーミールは肩を揺らす。
「...はい、すみません」
『別にいいよ。あまり情報でなかったでしょ？
死んでるし』
「...は？」
然り気無くAがカミングアウトすると場が静まる。
「...そう、ですね。亡くなっていて情報が少なかったです」
エーミールが吃りながらそう言う。
『うん。私は死人だよ。』
どうでも良さそうに言って退けるAに鬱は目を反らした。
それに対して強い眼差しをAへと向けるコネシマ。
「...自決なん？」
『え、なんで？死にたくなかったよ、私は。
でも、どうしようもないときはあるよね〜』
笑うA。
そんな空気ではないのに、どこか楽しそうだ。
『あれ、個人情報とかは知ってる感じ？』
「スリーサイズくらいは...」
『は？』
「冗談です」
ガチトーンで返すAに怯えてチーノは即座に掌を返すチーノ。
「本当は、名前くらいしか出んかった。」
『名前は？勿論、フルネームね』
「猿山Aさんやんな？三年の。
風紀委員やっとって...え〜、人望が厚かった」
Aはピクリと反応したが、そのあと何かを隠すように笑みを浮かべた。
『そうだね。』
「...猿山？」
シャオロンが反応する。
此処にいるメンバーで猿山、と言われ直ぐに頭に浮かぶのは鬱とシャオロンの担任である、らっだぁこと猿山らだ男である。
「らっだぁって知っているか？」
一番始めに質問を始めたのはグルッペン。
『らっだぁ...うん、知ってるよ』
「グルッペン」
会話を遮るように声をかけたのはゾムだった。
ゾムは首を横に振り、何かをしてはいけないと訴えていた。
いくら頭の回るグルッペンでも意味がわからないのか、顔をしかめた。
「頼む」
ゾムは再びそう頼んだ。
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作者名：咲々姫 | 作成日時：2021年2月2日 16時
