オレも！と言えなくて…8 ページ4
「潤は！？」
ドアを通り抜けるなり、息を切らしながら何とか一言だけ発すると、
「落ち着け、櫻井。
大丈夫だよ。今、ブドウ糖の点滴してモニタリングしてる。すぐに意識も戻るはずだ。
それより、潤くん、いつから熱あったんだ？」
岡田先生の言葉にびっくりして、整わない息のまま、ブルブルと首を振る。
「もしかして、今朝までは元気だったのか？」
俺が答えられずにいると、担任の先生が、
「朝の健康調査の時は、確かに元気ですって本人は…」
それを聞いて、朝の会の時点では自覚するほどの体調の悪さではなかったと知った。
続けざまに発見時の様子とか、気になることはなかったかと先生たちに質問をする岡田先生の横で黙って聞いていた俺。
その間、時間にして5分ほど。
だいたいの状況を飲み込めたのか、質問を止めて俺を見た岡田先生は、
「潤くん、すぐに病棟に移すけどお前どうする？一緒に来るなら、特別に入れてやってもいいぞ？」
本来なら部外者は入れないセンターの初療室。そこに昔のよしみで入れてくれると、悪い顔で笑いながら言われたら、頷くに決まってる(笑)
「お願いします」
岡田先生に返事をしてすぐ、担任と保健の先生に、
「すみません。
少し落ち着いたら、またこちらから連絡させて頂きます。
本当にご迷惑、ご心配をお掛けしました」
と、深くお辞儀をした。
入学前から何度も緊急時の対応については話し合ってきたものの、これほどまで迅速で適切な対応をしてもらえるとは思ってもいなかった。
だから凄く感謝しているんだけど、今は一刻も早く潤に会いに行きたい。
そんな俺の気持ちを察してくれたのか、
「お父さん、行ってあげて下さい。
潤くん、きっと待ってますよ？」
保健の先生の柔らかな声と優しい微笑みに、もう一度頭を下げた俺は、さっさと行ってしまった岡田先生を追いかけた。
初療室に入ると、ちょうど意識を取り戻し始めた潤がいて、担当してくれているらしい救急医が大きめの声で呼び掛けているところだった。
「潤！」
堪らず駆け寄ると、
「パぁパぁ」
って、甘ったれた声で俺を呼んだあと、くしゃっと顔を歪めて泣き出した。
不安や恐怖が一気に甦ったんだろう。
「よしよし、泣かなくて大丈夫。よく頑張ったな？偉かった…」
ポロポロ流れる涙を指で拭ってやりながら話しかけると、すがるように俺の手を握ってきた潤はスーっとまた眠りに落ちた。
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まぁさ(プロフ) - 何度も戻ってきてしまいます。あの家族に会いたくて。また更新されるのを楽しみにしています。 (2022年2月26日 7時) (
レス) @page8 id: 970a4044af (このIDを非表示/違反報告)
em(プロフ) - 最初から一気に読み直しました！ドキドキハラハラほっこりするお話しで大好きです！また更新されるの楽しみにしています！ (2021年9月2日 21時) (レス) id: 8d8bf5d378 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - 最初から読み直しました(*＾▽＾*)また更新されるの楽しみにお待ちしてます☆ (2021年5月9日 8時) (レス) id: f4ca038df0 (このIDを非表示/違反報告)
ぴ(プロフ) - season1の1話目から再度一気読みしてしまいました！続きをまたいつか、楽しみにしています！ (2021年1月16日 13時) (レス) id: 2ec53b58cb (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 前更新されていた時からのファンです。また更新してくださいー！和くん潤くんが見たいです。 (2021年1月15日 6時) (レス) id: 85c9a45f00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：虹
| 作成日時：2019年6月6日 17時
