心に負った深い傷 12 ページ39
結局、長い時間を掛けて食べたのは、トーストの端を一齧りとヨーグルト一口だけ。
「ごめんなさい…」
残したことを詫びて立ち上がる、顔色の悪い和に堪らず、
「和、無理しなくて良いんだよ？お休みするか？」
洗面所に行こうとするのを阻止するように、腕を掴んで言った。
それでも和は、フルフル首を横に振って俺の手を振り払ってハミガキに向かった。
いくらルーチンを崩すのが嫌いな和でも、こんな時まで…って思ってしまうのは、和のことを正しく理解してやれてないのか？
この期に及んでそんな疑問が頭に浮かんでしまう。
大人みんなが心配する中、リビングにランドセルを取りに来た和は、淡々と準備を進めて、
「行ってきます…」
また小さな声で挨拶をして、潤が待つ玄関へと歩いて行った。
そんな和を止めることもできない俺たち。
それならせめて俺もいつも通りにしてやらないと、って想いから玄関まで見送りに行こうとしたその時、決定的な異変が和を襲った。
突然、ガクガクと震え出した和。
慌てて駆け寄るのも待たずに、盛大に嘔吐し始めた挙げ句、
「うわあぁ〜！」
パニックを起こして、玄関の壁に頭を打ち付けた。
「かーくん！」
潤の叫び声が響く中、夢中で和を抱きしめる。
「和っ！」
「っんん！」
苦しそうに唸り声を上げる和をこれ以上傷つけまいと、必死で全身を使って抑えるけど、力いっぱい暴れられると思いの外力が強くて、思うようにいかない。
和？こんなところで成長したなって感じたくなかったよ、パパは…
こんなに苦しくなってたのに、気づいてやれなくてごめんな？
そんな思いで抱きしめていると、急に視界が遮られた。
「潤、パパたちがいるから大丈夫、ね？
登校班、遅れるから行こう？」
雅紀が潤を連れ出したのを闇の中で知る。
こんな時は落ち着くまで、声を掛けたり刺激したりしない方が良い。
それは今まで智にぃから何度も言われていたし、そう対応する智にぃを何度も見てきた。
だから祈るような思いで、ただただ和を抱きしめたまま玄関で転がり続けた。
暫くして、体の力が抜け始めたなって思い始めた頃、
「かーず…」
って、智にぃの柔らかな声が聞こえてきた。
俺まで癒されるその声の主が、パッと視界に現れて、
「大丈夫だぞぉ」
言いながら、そっと俺の足を退かして和を抱き上げた。
ぐったりしている和を見上げて、俺のスイッチがオンに切り替わる。
「クリニック行ってくる」
それだけを伝えて走り出した…
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棗(プロフ) - パスワード申請します 。 いつも、拝見させていただいてます。 (2019年2月14日 20時) (
レス) id: ef140653c3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆか(プロフ) - パスワード申請します。 お願いします。 毎回楽しく読ませて頂いております。 (2019年2月14日 16時) (レス) id: 03009ea5b3 (このIDを非表示/違反報告)
rietan(プロフ) - パスワード申請します いつも楽しみに読ませてもらっています 疲れた心が癒されます (2019年2月14日 0時) (レス) id: 09ada2be90 (このIDを非表示/違反報告)
シナモン(プロフ) - こんばんは。パスワード申請お願いします。いつも、楽しく拝見させて頂いています。ドキドキしたり、ほっこりした気持ちになります。これからも、楽しみにしていますので無理の無いように更新楽しみにしてます。 (2019年2月14日 0時) (レス) id: bd8fca3fd7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - パスワード申請 いつも拝見させていただいてます。 (2019年2月13日 21時) (レス) id: 1d2222a8c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：虹
| 作成日時：2019年1月19日 21時
