Prologue ページ2
春の陽射しが優しく照らすその日、『社会福祉法人櫻葉会 おひさまクリニック』は開院セレモニーの準備に追われていた。
「パパーいってきまーす！
潤くーん、早くー！先行っちゃうよー？」
毎日同じ時間に登校しないと気がすまない和也が玄関のドアを開けたまま、潤が来るのを待っている。
「待ってよーかーくん。俺はかーくんよりいっぱい食べるから遅くなっちゃうの！」
寝起きが悪くて朝ごはんのスタートが遅れたのを棚に上げ、そんな屁理屈を言うのは、昨日入学式を終えたばかりの1年生、潤。
「和も潤も、朝からそんな言い合いしないで、仲良く行っておいで。和は潤と一緒に行けるようになって嬉しいんでしょ？」
玄関まで見送りに来た智も今日はセレモニーだからと、病院を退職して以来ほとんど着ることのなかったスーツを身に纏っている。
その横をバタバタと掻き分けるようにして出ていく雅紀に、
「まーちゃん、待って。ネクタイ忘れてるよ！」
と、ネクタイ片手に追いかけるゆか。
「あーありがとう。ご飯の後に締めようと思って忘れてた」
ゆかの後ろには翔が立っていて、
「てか、なんでそんな早く行くわけ？
打ち合わせでは9時で良かった筈だろ？」
「それがさぁ昨日になって納入漏れが分かってさ。
大した物じゃないんだけど、業者が朝イチで伺います、なんて言うから…」
翔は準備万端整えたと思っていたのにと、元々ない肩を更に落とし、
「じゃあ俺もなるべく早く行くから。頼んだよ？」
そう言って、奥へと引っ込んだ。
そんな朝のバタバタ劇を繰り広げるこの家は、玄関に3枚の表札が並ぶ、この辺りでは割りと有名な一家。
ひょんなことから町の名士で資産家だった隣に住む山田さんから譲り受けた膨大な資金と土地。
そこにクリニック、療育施設、保育園、職員寮などを建設した。
その土地の一角に、決して派手ではないけど大きな家を智の両親が遺してくれたお金で建てた。
子どもたちの背中が見えなくなるまで見送っていた智とゆかが、玄関をくぐる間際、
「いよいよね？待ちに待ったこの日がやっと来たね」
感慨深げに言うゆかに、智は何度も頷き、
「ホント、やっとここまで来た。
とはいえ、やっとスタートだけどね？」
そう言うと、いつものようにふにゃっと笑った。
＿＿＿＿＿あれから1年、血の繋がりはないけれど、強い絆で結ばれた、あの家族のお話が再び始まります＿＿＿＿＿
ステップファミリー second season
どうぞお楽しみ下さい…
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 545人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
虹(プロフ) - ebi信号さん» こんばんはー！コメントありがとうございます(^O^)ワクワクしてもらえて、私も嬉しいです♪これからもよろしくお願いします(^o^ゞ (2019年4月12日 22時) (
レス) id: d02e7023d3 (このIDを非表示/違反報告)
ebi信号(プロフ) - profile読んだだけで、泣きそうになってしまった。ワクワクとホッと安心感です。この世界を続けてくれて、残してくれてありがとう…。 (2019年4月12日 0時) (レス) id: 7ab42f2331 (このIDを非表示/違反報告)
琴子(プロフ) - 虹さん» ありがとうございます！こちらこそ(^-^)/ (2019年1月2日 16時) (レス) id: cc1132a1bd (このIDを非表示/違反報告)
虹(プロフ) - 琴子さん» 良かったぁ(^O^)これからもよろしくお願いします(^o^ゞ (2019年1月2日 13時) (レス) id: d02e7023d3 (このIDを非表示/違反報告)
琴子(プロフ) - 虹さん» さっそくにありがとうございました！見れました＼(^o^)／ (2019年1月2日 13時) (レス) id: cc1132a1bd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：虹
| 作成日時：2018年12月24日 18時
