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［「転送魔法陣」は、多くのものを一気に運べる。それが商品なのか軍隊なのか、送られても来るほうにゃ見分ける術もねぇ。］
「…俺が師匠を騙して、師匠の故郷にそんなことすると思いますか!?しませんよ…ぜったい!!!」
［わかってる…わかってるんだアリババ…！でも、恐怖に脅えきってる俺の民を無視してまで、強引に事を進めるわけにゃ行かねーんだ！だから…
商館の件は、もう少し待ってくれないか？頼む、時間をくれ……！］
プツ。
シン……
「「なぜこんなことに……!?」」
「噂よ。」
「「噂？」」
椅子から立ち上がって腰に手を当てうーん、と後ろに伸びをするAに、視線が集まる。
「やっとわかったわ、なんでこんなことになったのか。誰が手を回したのかも。」
「え!?」
「とにかく、噂が流れてる。どの国も同じ。今回の交渉決裂の原因は、世界中に伝染してる…一般国民たちの煌帝国への「不安」よ。」
＿バルバッド共和国
「慌てて現地調査に来て見りゃあ…アリババさんに聞いた通りの騒ぎになってるじゃねーか！」
ザワザワ
「煌帝国が再軍備するらしい。」
「ええ!?」
「言われてみればそうだ。あの侵略国家が今更商会なんて本気で切り替えるはずがない！」
「思い出せ。煌帝国が何をしたか忘れたのか？」
「大陸中を侵略した！」
「そうだ、バルバッドも少し前まで占領されてたじゃないか！」
「「煌帝国商会」の商館なんて、絶対に建てちゃいけない!!!!!!!」
ワアアッ！
「若…申し訳ありません…あなたがそんなことをするはずがないとわかっているのに…！」
レーム帝国
「予想外の事態がおきた。だが変だ。一体なぜ急に同じ噂が広がったんだ？」
シン……
「ば…バルバッドとレームもだめになったのか……？」
「終わった…う、売る相手がいなくなってしまった……」
「食糧生産はどんどん進んでいるのに……どうするんだ……？」
「春には煌帝国1国では消費し切れない量の食料が出来上がってしまう。」
「それを売るために、国中が一丸となって頑張ってきたのに……」
「陛下……」
「借金で…八方塞がりで……
そこにAちゃんとアリババちゃんがやってきて…作戦を考えて…みんな立ち上がって、畑を耕して、バラバラになりかけてた煌帝国がまたひとつになって、」
「陛下……」
「あ、あと一歩で…立ち直らせられると思ったのに……！」
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作者名：氷空音 | 作成日時：2022年6月30日 21時
