再考.33［マギ］ (ページ35)

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第301夜代表としてページ35

「ここまで順調ね。バルバッドにマグノシュタット、エリオハプトにレーム帝国。」

「おう！んじゃあ次はやっぱり…」

パルテビア帝国首都・クシテフォン

ドオオオオ

「なんじゃこりゃあ!?!?!?」
「やべえ……」「でけえ……」「バカ高ぇ……」

「ははは、初めて来た時の俺と同じリアクション。」

(やっぱり別格ね、パルテビア帝国は……)

Aはじっ、と建物を見上げる。

(このパルテビア帝国とも商談を取り付けられれば…すなわち世界の中心と貿易ができるってこと。煌帝国は、経済的に持ち直すはず。

けど……)

「よーし、商談やるぞー！」

「さすがアリババさん、パルテビア皇帝とも知り合いなんすか!?」

「いや全然。だから…"あの人"に頼む！」

(けど、ここに来るのは予想外。色々とまずいでしょ、色々と。いや、まあ、私にとっては。)

「って、それよりアリババ、あの人、何かよりも、私を先に頼ればよかったのに！」

「え、ええ？」

「私、パルテビア皇帝とくらい知り合いよ！私の働いてた時代は国と国とでは交流はなかったけど、皇后として色んな国とお茶はしてましたー！話したことくらいありますー！」

「え、それを先に言ってくれよ！」

「パルテビアそのまま行くと思ったらここに寄り道してんじゃないわよお！」

「んー、まあ、せっかくだしよ！会いに行こうぜ！”あの人”に！」

「……私ここで待ってるから。」

「えっ？なんで？」

「……いいから！私、夜の街散歩してくる！」

フン、とそっぽを向いてズンズン歩いていってしまったAに、なんだあの子供みたいな拗ね方は、と思いながらもアリババは驚いたように首をかしげたが、まあいいか、と建物の中に入っていった。

＿＿＿＿＿

「もうすぐ彼が来るよ、シンドバッド様。」

「彼…アリババくんか。何故？」

「彼なりに頑張ってるから、それで頼みたいことがあるんだよ。まあ突然来ても、シンドバッド様は優しいからお話してあげるんだろうけど。」

「……美しくなったな。」

「？」

窓から注ぐ月光に照らされた女性は振り返った。

幼く見える顔つきでも、もう彼女は立派な1人の女だ。

「前よりずっと綺麗になったよ。」

「……そうかな。」

ベッドに座る男からまた顔を逸らし、窓に触れたまま外を見ながら言った。

彼女は、一日、一日と経つ度に、体から色が消えていく気がした。

残ったのは、両目の赤色だけだ。

「私…似てるかな？」

女は振り返らない。