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「ジュダルって？」
「あの「会談に乱入してきた魔法使い」だ。」
「ああ！あの人は……来ませんでしたね。俺たちが煌にいる間は……ですよね？Aさん。」
話を振られたAは、赤ん坊をトトに引き渡しながらこちらにやって来て頷いた。
「うん、ジュダルは見なかったけど。白龍もそんな話は1度もしなかったよ。」
頭をポリポリとかきながら答えるAに、アリババは「そうか」と頷いた。
「そもそもあの人死んだんじゃ？白龍帝もそのつもりで葬式まで出してましたけど。」
ですよね？Aさん、とまた話を振られて、Aは苦笑しながら「あはは、そうだね」と肯定した。
「そうか。」
(ジュダルは白龍に会えなかったのかな？
ジュダル、白龍、モルジアナ、アラジン……
あいつら4人は今、どうしているんだろう？
いや、本当は1番初めに聞くべき人がいたんだ……)
チラ。
オルバたちと楽しく会話しているAに目を向けた。
目を細めて大きく口を開けあははと笑う、前と変わらぬ可愛らしい彼女だが、
何故か触れるのを恐れていたその話題を、今夜聞くことにした。
じゃなければ、前に進むことは出来ない。
嫌われることを恐れるより、手がかりのほうが重要だ。
…なぜ、嫌われると思っているのかは…わからないけれど。
「ところで「煌帝国商会」にあなたたちも力を貸してくれないかな？人手不足で困ってるのよ！」
「俺らも1年間、煌にはお世話になったしな。」
「いいですよ！」
「アリババ団再結成だな！」
ありがとう！と手を叩き喜ぶAに、アリババはこそっと耳打ちした。
「夜、抜け出して会えないか？」
その時、頭のいい彼女はすぐに察したのかもしれない。
彼女はゆっくりとこちらを振り向き、OKと人差し指と親指を合わせてマークを作り歯を見せて笑った。
突然どうしたの、と驚かないから、なんのことを話すのかもわかっているのだと思ったのに、それにしては気まずい雰囲気になることも無くニッコリと笑う彼女が、ますます分からなくなった。
アリババは、会わなかった数年の間で、目に見えない距離ができてしまった気がして、なんだか少し怖くなった。
＿夜
「!!!」
アリババが目を覚ました時には、もう既に外は月しか浮かばない真夜中で、急いで飛び起きた。
(やべえ、みんなが寝るまで待とうと思ってたら、寝ちまった！)
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作者名：氷空音 | 作成日時：2022年6月30日 21時
