再考.33［マギ］ (ページ16)

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「はは…二人とも「会談」の時から全然変わってないぜ！」

アリババがティトスとムーを見ながら言った。
ティトスはちょっと大人っぽくなった、と付け足すアリババに、Aもウンウンと笑顔で頷いた。

「お久しぶりです、アリババさん。」

「えっ、誰…？」

アリババが振り返る。

「こいつはスフィントスだ。」

「スフィントス……！？」

スフィントス・カーメン。かつてアラジンとティトスとAと共に青春を送ったひとりの男だ。

3年半前、マグノシュタットの戦いの後、スフィントスはアリババがバルバッドの王族だと知り、ペコペコと頭を下げて挨拶をしていた。
アラジンは、スフィントスは王族コンプレックスなんだと教えたが、Aからすると何度見てもいつもとの変わりようが面白いので、毎回からかっていた。

だが今はAは彼に背を向け、ムーと何やら下を向きながら話している。
ゴソゴソと音がして、Aはなにか袋を広げ、その中身をムーに見せているようだ。

「怪しいものじゃないですけど、あの、毒味とかしてから渡してやってください。いや当たり前だとは思うけど、私が容疑者になるの嫌なんで。」

「はは、君のものなら信じているさ。でもそうだね、後で渡させていただくよ。」

どうやらAはエリオハプトでお土産を買ってきていたらしい。
それを見てアリババは感心した。毎回、国を回る時はこのように、その前に行っていた国のお土産を買って渡していたのだ。そこら辺の礼儀のようなものもちゃんとしている。

「えっとぉ、これがエリオハプトで有名なお菓子で、、あそこ暑いところなので、長持ちしやすいんですよ〜！甘くて美味しいんですけど、、」

「…ぉーぃ、」

「あっ！そうこれ！この桃色のやつ！マカロンってしってます？それに似た見た目してるんですけど、これがまた想像とかけ離れた味をしていて……」

「A…」

アリババが紹介に熱心になっているAを小さく呼ぶが、全く気が付かない。
ムーも気がついていて苦笑しているのだが、Aの目線は手元の美味しいスイーツに注がれていて、とにかく魅力を伝えたいらしい。

アリババが気づかせてやりたいのは自分のことではなく、

「……」

さっきからムスッと気に入らないような表情でAの後ろ姿を見るスフィントスだった。
自分には敬意を見せていたが、やはり数年ともにすごした仲の良い友人のAには、素を隠すつもりは無いらしい。