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「え？眼帯？」
不幸にも、アリババがその言葉を耳にした。
「…何言ってんの？」
苦笑するA。本気で戸惑っているようだ。
「そーだぜティトス。だってAは……」
昔と何も、変わらないじゃないか……
そう、言おうとしたのに…
(あれ？おかしいな、、、
記憶にあるAに、モヤがかかって、、)
上手く思い出せない。
ほら、変わらないだろって、、
自信を持って、、言えない、、、？
(いや、、だって、そうだろ？昔と変わらない、、じゃんか、、、
昔から、眼帯なんて、、、、)
「ねえ！」
「!!!!!!」
ハッとすれば、アリババの目の前にはAの目が合った。
超至近距離で、アリババは驚きよろめくように後ろに下がった。
大きく大きく見開かれた目が目の前にあって、ビックリした。
「何考えてるのよアリババ！眼帯なんて、昔からしてたじゃないの……」
忘れたの？なんてヘラヘラするAに、アリババは自然と考えることを放棄した。
「そ、そうだよな！てかそもそも、んなこと関係ねえじゃねえかよー！」
「…そうだね！すまない！」
ティトスは笑顔で謝った。
だがティトスは、笑顔でアリババと話す彼女を、鋭い瞳で見ていた。
この違和感、この違い、、
絶対に、そのままにしていてはならない。
「……！」
そう思っていたのに、ふと、ほんの一瞬目が合った時、
ティトスは固まってしまった。
アリババから視線を外し、ティトスをみたほんの一瞬だったのに…
あの目が、彼の頭に焼き付いた。
すごく、酷く悲しそうな辛そうな、泣きそうな目をしていた。
眉を下げ、
自分が彼女を疑うことを、悲しむような……
(そうだ…疑いすぎるのは良くない。それに、今の目はきっと、この違和感には理由があるんだ。
アリババにも隠している、その秘密を僕は知らぬうちにバラそうとしてしまったのか。
申し訳ないことをした。誰にだって、、偽りたいことは、あるしな！)
ティトスは、途端にAの側にいてやりたくなって、アリババとAの会話に入った。
話してればわかる。彼女は本物だ。
笑い方も、目の細めたかも、話し方も全部…。
(好きな人を疑うなんてそんなこと、したくはないからな！)
(好きな人を疑うなんてそんなこと、しないでよ。)
彼女は心の中で、ガリッと親指の爪を噛んだ。
(全部忘れて、塗り替えてよ!!
私を、愛してよ！)
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作者名：氷空音 | 作成日時：2022年6月30日 21時
