第249夜 白龍の執念 ページ43
「ぬぅん！」
ゴッッ
2人が加わり、白龍も諦めず玉艶に三人分の刃が向かう。
「フッ!!」玉艶は笑った。
「なんだぁ？おっさんたち助けてくれるってか？」
息を切らしたジュダルが言う。
「白徳帝の遺志と今の俺とはなんの関係もない。
都合の良い夢を、俺に見るなッ!!!」
ｷﾞﾝｷﾞﾝｷﾞﾝｯ
ガキィンッ！
「そうではない。我々は何もしなかった。あなた様のおっしゃる通りだ。そして今、目の前でこの国を貪ってきた女狐とあなた様が刃を交えている……
我らの心の声に、」
「従うまでだ!!!」
ゴッゴッゴッ!!!
3人の攻撃が1度に当たった。
バキン!!!
「やたっ！」
玉艶の剣(元は白龍のもの)が折れる。
「女!!貴様には信念がない。信ずるものが何も無いのが貴様の敗因だ!!」
玉艶はその言葉にピクッと反応する。
「信ずるものが……何も無いですって…？」
スッ
「………？」
ゴオオオオオ
「それは君たちの方さ!!!」
途端に玉艶は禍々しい黒い力を漲らせた。
ガガガガガ
ズガガガガガ
「うわーっ危ねっ！かんべんしろよ、俺飛べねーし「
じゃっ、と手を挙げそそくさと出ていくジュダル。
「なんだ、この気迫は!?」
「ホラ！！」
ズバッ
「ホラぁ!!!」
ズバァ
「この耳かい？「あのお方」の声が聞こえないのは。
この目かい？「あのお方」のお姿が見えないのは。
ソロモン、やっぱりこの世界は間違ってるよ！みんな目も耳もバカになってしまっているじゃないか!!
グロリア、君は僕を救うなんてほざいていたけど、そんなことの前に救うべき奴らがいるじゃないか!!「あのお方」の存在を感じ取ることが出来ないバカ共のその頭を治してあげなくちゃ!!ねえグロリア!?」
「おおお…うおおおおおお!!!」
「皇子!!」
「煌帝国を……」
「「我の国を…どうか頼みま……」」
ブシャッ
キャハハハ！
玉艶は血を吐く2人を指さし子供のように涙するほど笑った。
「玉艶んん!!!」
ズン
「な…何ィ…!!?」
玉艶は初めて動揺する。
白龍の力は仲間の死を持ちなお強くなったのだ。
ゴォオオオ
『かならず仇をとれ、白龍。』
ズバァ
玉艶の杖は割れた。
ズンッッ
だがその割れた杖で腹部を貫かれた。
笑う玉艶の首筋に……
噛み付いた。
ブチッ
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作者名：氷空音 | 作成日時：2022年5月5日 23時
