第248夜 ジュダルの奥の手 ページ41
「「魔装」が…」
(解けちまってる。紅炎にかけられた「フェニクス」の呪縛のせいで、白龍はろくに魔力が使えねー。
「アル・サーメン」の魔導士も、俺も、あのババアに黒いルフを全部取られちまう。
「魔法」の勝負じゃ、この女に勝てねぇ!!!)
「どうしてなの？ジュダル、白龍。今まであんなにかわいがって育ててあげたじゃない。」
ｶｯｯ
フーッ
(でもよ、この女をぶっ殺さねーとよ、俺たちの頭ん中は「怒り」だけだ。)
2人はググッと痛む体を無理やり動かし立ち上がった。
(ちっとも前へ、進まねーんだよッ!!)
「白龍、あとはお前に任せるぜ。」
「なに？」
「なるべく使いたくねー手だったがよ…なにせこの俺も…暴れられなく…なるからよっ！」
カッ
ピカッ
「なっ…なんだ！？この光は!!?」
ドオオ
宮殿を、結界が囲んだ。
フッ！
「！？白龍皇子の出した化け物が消えた!?」
ｼﾞｼﾞｯｼﾞｼﾞｯ
分身体たちも消える。
「「絶縁結界」…マグノシュタットでモガメットが研究してた禁術だよ。この中では一切の魔法が使えねえ。
だから玉艶、お前今…………」
「魔法が……魔法が…」
「おまえ今、ほんとにただのババアだぜ。」
「この世界に、こんな技術がッ!?」
バキッ！！！
ドッドッ
玉艶は白龍に頬を拳で殴られ、跳ねるように地面に倒れた。
「!!」
頬を押え見上げた玉艶を、白龍は上に乗りゴキッ、ゴッゴッガッゴッと何度も殴る。
「ジュダル…」
ユラ…と白龍は立ち上がる。
「そんな手があるなら、早く言え！」
「奥の手バラしちゃツマんねーじゃん？この中にいりゃあ紅炎の「フェニクス」も無効化される。体が楽になっただろ？まぁ、俺もただの人間になっちまうし、おまえの「ザガン」も使えなくなるんだけどよ。」
(！義手が…槍が握れん…)
「でも、右腕と剣1本で十分だろ？女ひとり殺すには…」
白龍はスッ…と腰に手をやった。
……!?剣がない！
ハッとして振り返ると、そこにはユラリと立っている玉艶が。
「フフ…白龍。あなたの剣、借りるわね。魔法なしの戦い？よくってよ。ジュダル、白龍にも剣を持ってきておやり。」
(こいつ…？)
「”かつての世界”で…最強の魔導士は、かの王だったけれど……」
ハイ、と大人しく白龍に武器を渡すジュダル。
スウッ
「最強の剣士は、私なの!!!」
その瞬間、ガキィイインと凄まじい金属音が鳴り響いた。
白龍は玉艶の剣をなんとか数秒前に渡された剣で受け止めた。
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作者名：氷空音 | 作成日時：2022年5月5日 23時
