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「未来の出来事は話せないとは知っていたわ。けど、まさか、大きく変えることもできないなんてね。
声をかけることも出来なかった。だから、何としても自分一人の体で、未来を変えようとすることしか。
声が出なくなるの。喉が焼けきるように熱くて、痛くて、締められたように苦しくなって、咳を込めば血が出てる。」
「……！？」
「元々私はほかの世界からやってきたようだから、未来に私は含まれていない。だから、前線に出るか後方基地にいるかは選べたみたいで、セイバーにギリギリで頼んだの。後方でセイバーよりは得意な防壁魔法を張ることで、少しでも未来が変わるって信じて。
無理だったけどね。私、この世界に深く干渉出来ないみたい。
ねえ、わかる？未来は変えることができるよ、
できるけどね、神から変えることを封じられていることもあるの。
異世界から来た私には、何も出来なかった。他の世界に住むあなたたちを変えることは出来なかった。
なんで、変えられないのに未来なんて見れるのかしらね？
変えられない未来なんて、「運命」と変わらないのよ。」
「……さ、っきから、異世界だとか、よくわかんねえよ、もっと、ちゃんと話してくれよ……」
「悪いのは全て私よ。ごめんなさい。私を殺しても、私が死んでも許せないと思うけど、ごめんなさい。」
「……おい」
「ごめん、ごめんなさい。」
グロリアは躊躇なく地面に膝をついて、土下座した。
ずっと姫様！姫！と呼ばれるくらい高貴な娘に思われていた彼女が、地に額をつけている。
「ごめんなさい。」
「や、やめろよ……」
「何も出来なくてごめんなさい。出来損ないで……ごめん。」
「辞めろって！！」
「無力で………………
ごめんなさい、」
地面に着いた手に力が入っているのに気がついた。
声が震えていた。
ガバッ！
ソロモンが彼女の手を取り無理やり頭をあげさせた。
長い髪がかかって顔はよく見えないが、すすり泣いていることはわかった。
イスナーンは涙が止まらなかった。悔しかった。悔しくて悔しくて仕方がなかった。
この感情を、どう殺せばいい？
わかっている。グロリアは精一杯考えて行動してくれていたってことを。
1人で重荷を抱えていたことも。
でも、それでも消えないこの腹立たしさは、どうすればいい？
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作者名：氷空音 | 作成日時：2022年5月3日 18時
