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「グロリア！！ダメだ、起きて直ぐに動くなんて、体が耐えられないぞ！」
セイバーがすぐに駆け寄り、彼女の方を柔らかく掴んだが、彼女は気にすることなく、ソロモンとイスナーンたちのいる中心部にやってきた。
ソロモンはまじまじと彼女を見た。
死んでいたも同然だった彼女が生きて、今立っている。
だがなくなっていた肘から下は血が通っていないかのように真っ白で、腹には包帯をぐるぐると巻いていた。
腕にも足にも頭にも、至る所に包帯が巻かれていて、痛々しい。
なぜソロモンよりもこんなに怪我の治りが遅いのか。
臓器と壊死した細胞を戻すのには時間と力が要する。セイバーは1日かけてなんとか命を取り留めさせたが、回復は彼女の体の細胞などに魔法をかけることなので、彼女の体力や魔力もわずかながらに消費してしまうのである。
そのため、大部分以外は自然治癒ということにした。
だがすぐにソロモンは彼女の違和感に気がついた。
まるで他人のような雰囲気を醸し出している。
初めてであった時よりも、ずっと……感情がないように思えた。
目は虚ろで、赤い瞳が濁っているようだった。
イスナーンは黙って彼女を見つめた。
「……一生、許されないことだとわかっているわ。私は、最低なことをした。守ると心に決めていたのに、あまりに無力すぎた……
本当にごめんなさい。」
深く深く頭を下げたグロリア。
イスナーンはぐっ、と歯を食いしばった。
「何故…何故自分一人だけで守れるなんて思ったんだ？そんなの……ありえないだろ。」
「時間が…稼げたらいいと思ったの。あなた達の到着がもう少し早かったら助かっていたかもしれない。そうやって後悔するあなたたちの未来を、私は見た。だから、私の防壁魔法なら時間稼ぎなんて余裕だと思った。」
ウーゴはぎゅっと拳を握った。
「俺らに責任転嫁する気か！？」
「違う。私が全て悪い。甘く見ていたのよ。本当にごめんなさい。ごめんなさい。」
「辞めろよ……」
「ごめんなさい。」
「頭上げろって……」
「ごめんなさい。」
「っっどんなに謝ったって！セッタたちは戻ってこないんだ！！！」
「イスナーン！！」
「…声が出なくて。」
「……？」
「「奇襲される」「避難しておいて」「セッタ、私がいるから前線に出て」「こっちが危なくなるから、みんな大聖堂には行かないで」。
全部言えなかった。」
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作者名：氷空音 | 作成日時：2022年5月3日 18時
