第231夜 異次元世界へ ページ7
ハッ
「ソロモン！！」
目を覚ましたソロモンはすぐに体を起こそうとする。シバはそれを止めた。
「傷が深いの、動いちゃだめよ！魔法でなんとか身体をつなぎとめているのよ！」
「まる2日間眠通しだったんですよ。大丈夫、ダビデたちは全員死にました。」
アルバが言う。
「魔導士たちは…どうなった！？」
＿
「もう結界の中で生きなくてもいいんだな！」
「俺たちは自由だ！」
外では、異種族たちが自由に暮らしていた。
そんな彼らを暗い眼差しで見つめるのは、城の前に座り込む人間たち。
「こんなことのために………俺たち、今まで戦ってきたのか……」
「家族が死ぬなら…異種族のためになんて戦わなかったわ……」
「おい、やめろよ…」
「でも……みんなもそう思ってるでしょう？」
誰も反論しなかった。
「それに、聞いたでしょ、姫様の話。あれ、本当なの？本当なんだとしたら……
最低最悪のクソ野郎じゃない……！」
「おい……！！それは言い過ぎだろ！！」
「だって、そうじゃないの！！未来を知って、なんで変えられなかったの！？
基地を襲うなんて知ってたら……全員避難させておくことなんて容易だったはずでしょ……
酷いわ……酷すぎる……」
女は顔を抑えて泣いてしまった。
＿＿
「ウーゴ！！お願い、ウーゴ出てきて！」
シバが部屋の扉をドンドンと叩く。
部屋の中でウーゴは本にまみれながら頭を押えガクガクと震えていた。
「ダメだよ…出ていけない……みんなになんて謝ればいいんだ…
セッタ…テス…基地のみんな…俺がもっと早く防壁を解いていれば助かっていたはずなのに……！誰も悪くないのに……悪いのは俺だよ……」
「どうすれば…あっ、ソロモン！？」
バン！！
「ソ……」
＿＿＿
「ソロモン！」「ソロモン王……」「ソロモン王！！」
「みんな………………」
全員、疲れきった顔をしている。
「すまなかった。」
「おまえは謝る必要なんてねえよ……」
被せるように言ったのはイスナーンだった。
「イスナーン…？」
「俺が…どうしても許せねえのは……
”未来”を知っても尚意味不明な行動をしたグロリアなんだ！！！」
「！？」
ソロモンは彼女の名が出たことに酷く驚いた。
「ちょっとイスナーン…！」
シバが止めるが、イスナーンは頭を抑えながら続ける。
「なんでなんだ！？未来が見えていたのなら、変えられたかもしれねえじゃねーか！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 23人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：氷空音 | 作成日時：2022年5月3日 18時
