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「……私は知っておりますよ仏様。
あなたは運命を知って、感情を失ったように過ごしながらも……
本当はファーランたちの心の傷を取り除こうとしていたのですよね？」
「…………」
「毎日毎日カウンセリングのように相談に乗って、怪しまれないような高度な話のテクニックで彼らを前のように戻してあげようとした……
あなたは彼らを愛していたから…乱暴な手はしたくなかった。
けれど！！！あれは心の傷などではない！正常な判断なのです!!!
……ひとりでは、なにもかえられませんでしたね？仏よ。」
そう。1人では何も出来なかった。
反乱が起こることも誰にも話せず、
辛かった。
仏教を広めたのは、
全員を自分の信者にしてから反乱なんてさせないように誓わせようとしたから。
実際、イスナーンたち以外は、皆今頃ソロモン側として戦ってくれているのだろう。
「……共に死のう。アルバ。」
「それは意味がありませんねえ!!!仏様!!!」
バチイン！！！
2人の神杖が強くぶつかりあった。
「おいたわしや姫君よ…！私が救って差し上げます!!!元の世界へ、帰るのです……！」
「私は死んでも尚、仏としてこの世界に残るでしょう。
貴方を殺すまでは。」
バチイン！ガン！ガン！
アルバは剣術が得意だった。グロリアは体の使い方がいちばん上手かった。そして、2人とも神杖で攻撃魔法はあまり使ったことがない。
なら、神杖で直接殺るしかない。
「あなたが嫌いだわ!!!アルバ!!!本能が、貴方を生かしておいてはならないと言っている!!!」
「私もよグロリア!!!本能が、貴方を、仏を殺さなきゃ行けないッてねえ!!!」
アルバは初めてこんなに勝負が続いた。
彼女は体術は1番だったし、何より魔力が仏として体内に多く蓄積されていたからである。
「けれど私はわかる!!!あなたの魔力は底をつくでしょう……ほかの世界の仏からの魔力の供給も、戦いながらでは行えない……！
あなたは魔力が無くなると同時に、仏ではなくなり、死ぬのです!!!」
そう。命はもう長くはない。
でも…
「命尽きても、最後は愛する人のためだけに戦いたい…!!!」
グロリアは神杖を高く掲げると、白いルフが神杖から溢れ出してアルバを捉えた。
ぐぐっ、ぐぐっ
体が動かせない……
「はあッ!!!」
神杖を横に大きく振って、アルバを斬った……
ブシャッッ
と、思ったのに。
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作者名：氷空音 | 作成日時：2022年5月3日 18時
