第233夜 光への造反 ページ18
ザワザワ
「ソロモン王は…一体何をしたんだ!?」
「「ルフ」…俺たちの魂はもとより「神」もこの集合体だったらしい。ソロモン王は「神」からその多くをはぎ取り、世界中の知的生命体に等しく分け与えたのだ。」
「そうよ、平等な世界を築くために。」
「平等だと？この有様を見ろ！」
イスナーンはスッと杖を上げると、振り下ろした。
バチバチッ！！と音が鳴る。
「俺たちはもう以前のようには魔法が使えない。「
「だが……魔導士がこの程度の力じゃあ…
危険じゃないか？異種族たちがまた反乱を起こしたらどうやって止めるんだ。」
「これから先の世界は、より悲惨な戦いの止まぬ修羅の世界になるのではないか？」
「いいえ、そうはならないわ。」
「どういうことじゃ？シバ。」
「ルフが白く光っているでしょう。これにはソロモンの意志が宿っているの。すべての知的生命体に幸せに生きて欲しいという、あの人の意志が。」
「じゃあ…俺たちは「運命」から開放されたのか？」
「………違うでしょう、シバ。」
「アルバ…」
「『運命』が消えたわけじゃない。ルフに宿る意思が「
「…！？つまり……」
「俺たちはまだ「運命」の監獄に支配されている…「神」ではなく今度はソロモン王の「運命」に……!!!」
ザワッ！
「「支配」だって!!?違うよ ソロモンは「理想郷」を作りたかったんだ！！すべての種族が平等に争わず前へ進める可能性を持てる世界を作りたかったんだ!!!」
(愚かですね。)
「俺は嫌だ！！」
「イスナーン!!!」
「俺はもう「運命」というものを受け入れられない…!!!俺たちは自分たちの意志で生きるべきだ。セッタだって自分の意志で戦って死んで行ったんだ。「運命」はその誇りを侮辱する存在だ！！」
(受け入れなきゃいけない者の気持ちも知らないくせに。)
「ソロモンは死者を侮辱なんてしてないわ！」
(侮辱も何も、すべて運命なのだから仕方ないのです)
「ならば死んだ者らのルフはどこへ!!?」
「ワヒード…!!!」
「わしらは見たんじゃ…「ルフ」は死んだら世界の主の元へ還る…」
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作者名：氷空音 | 作成日時：2022年5月3日 18時
