神様.27［マギ］ (ページ2)

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彼らは、その真っ黒な世界を見て絶望した。

所々に転がる黒焦げの死体。

「ママ……」

「！テス？」

ファーランは振り返った。

そして抱き抱えたのは、黒焦げの小さな死体だった。

「ママ〜…パパ〜…こわいよ…あついよ〜…た…すけ…て…………」

ヒューーーヒューーーッ

「…あれ？テス？起きて…あれ？おーい……」

テスは沈黙の中、両手で頭を抑えた。

「うあああああぁああああああああ！あああああああああァァァァァァァアアアアアアア！

テス〜〜！！！テス…ああ、ああああ〜どうしてこんなことに……こんなはずじゃあ……こんなハズ…テステス〜〜〜〜〜〜うわあああああああっ！」

ウーゴは目と口を大きく開いて、アルバは口を抑えて、シバは目を見開いて、ソロモンは悔しそうに顔に影をかけた。

そこで、突然セイバーが走り出す。

そして、ある瓦礫の後ろを覗くと、しゃがみこんで、そこに手を伸ばした。

ウーゴはハッとする。

「ねえ、あの足って……！」

反応したのは、アルバとシバとソロモンだけだった。

ファーランは息子を太ももに乗せたまま上を向いて咽び泣き、ワヒードはそんな家族たちの元へ走り、イスナーンは落ちていた弟の杖の前に座り込んでいた。

ウーゴが指さした方を見て、ソロモンはハッとする。

瓦礫から覗いた白い足は、ほかの死体とは違い焦げてはいないようだ。

ウーゴの頭の中に浮かんだのは、自分を認めてたくさん慰めて優しくしてくれた、大好きな女の顔だった。

ウーゴはセイバーの元によろけながらも走っていった。ソロモンとシバとアルバは動かなかった。
動けなかった。

知っていた彼らだ。彼女が、未来を見えることを。

ウーゴがセイバーの元にもうすぐつきそうな時、足を止めた。

セイバーが抱き抱えて、立ち上がった、その体を見て、目を見張った。

紛れもない、グロリアの死体であった。

それも、両腕が無く、血は体の至る所から流れて、足首まであった穢れの知らない長い白髪は血で所々真っ赤に染まって、腹部には穴が空いている。

ウーゴは言葉が出なかった。

セイバーは手が流れてくる血で塗れて行くのも気にせず、彼女を姫抱きしながら、呆然と立ち尽くしていた。

彼も知っていたからだ、彼女がしたかったことを。

セイバーは無言で彼女を抱き抱えたまま、ソロモンたちの方へゆっくりと歩いた。

ウーゴの隣を通る時も、無言だった。