理想郷.25［マギ］ (ページ11)

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斜め後ろから、彼の方が背が断然高いはずなのに、下から見上げているかのように控えめに聞くセイバーと、後ろで腕を組みながらソロモンを見つめるズロリアを、シバは見た。

「え？グロリア…は、話せるの？」

「様をつけろよ様を。」

「え？え、あ、、(グ)、グロリア様……？」

「まさか、やめてよシバさんまで。」

(シバ”さん”……)

「え、でも、話せるって？」

「姫様は音魔法が得意だから、特殊な音波を出して相手の脳に直接意思を受け渡すことができるんだ。」

にっと、少し自慢げに話すセイバーは、グロリアのこととなると本当に人が変わるんだなと、ファーランやらへの態度を思い出しくらべてシバは思った。

「え？でも、じゃあなんであんな無駄なことをさせるの？時間の無駄よ！」

「そうかしら。」

「えっ？」

グロリアはただ楽しそうなソロモンを見て、ぎゅっと後ろで組んだ指に力を込めた。

「彼のあんな楽しそうな顔が見れるんなら、少なくとも私にとっては時間の無駄なんてものじゃないと思うけれどね。」

いつもとは違う、ごく自然な、優しく、それでいて儚い笑みの横顔を目にし、シバは目を見開いた。

そして、無邪気なソロモンとグロリアを交互に見て、

「……………………変な人…………」

と、呟いた。