過去.６［マギ］ (ページ41)

今日:2 hit、昨日:16 hit、合計:53,388 hit

２ページ41

「・・・・・・でも・・・」

「怖いのかい？自分が王子と認められないことが。」

俯くアリババに、後ろからアラジンが声をかけた。

「…」

その間、Aは何やら顔をしかめ考え事をしていた。

「大丈夫、君は王子だよ。君の父上から聞いている。俺は古い知り合いでね。」

「えっ！？」

「うん…君はバルバッド先王によく似ている。君は、紛れもなくバルバッドの王子だ。

だから君には、重い責任があるんじゃないか？」

アリババは表情が落ち着いたようだった。
だがその後ろで不満気な顔をするカシムが居た。

「どうだいカシム君？これで話がまとまれば、スラムの人々の生活は保障されるだろう。
それが君たちの望んでいたことだろう？」

「…………」

だが、カシムは頷きもしなかった。

「行っておいでよアリババくん。何も怖いことなんかないよ。
君は、勇気ある人じゃないか。僕は知っている！」

アラジンはアリババを見上げ、微笑んだ。

「…うん、アリババならいけるよ。なんやかんやひどいことを言ったけど、私はまだアリババを信じているし、好きなままだよ。」

Aも後ろからやってきて、ニッと微笑んだ。

アリババの表情は、決意で固まったような力強い顔をしていた。

その日、バルバッドに大きなニュースが流れた。

「霧の団」のリーダー「怪傑アリババ」がバルバッド国の第3王子であり、単身王宮に乗り込んだというのだ。

人々は、この国の王と反政府組織のリーダーとの会談に未来への希望を託し、王宮の前に集った。