過去.６［マギ］ (ページ12)

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「昨日、アラジンに剣を向けてまで、盗賊をやっている理由を…話してください。」

「……うるせーな…覚悟決めてきたのに。今、お前が急かすから、また話す気なくなってきたし…」

アリババのハハ…と乾いた笑いを見て、モルジアナはイラッとする。

「話してください。笑いごとではありません。あなたの「霧の団」のせいで今、この国で何が起きているのか知っていますか？
内乱で交易は止まり、政府が市民を見放し、逃げ出した罪なき貧しい人たちが…国境で奴隷狩りされているんですよ！？
こんなことにあなたが加担しているなんて…あなたはチーシャンで私たち奴隷を、私財をなげうって解放してくれた人ではありませんか！とても感謝していたのに！」

「……」

「こんな！！！他人のことを考えない人だとは思いませんでした！！！」

モルジアナは珍しく感情をあらわにし、その目には涙も浮かんでいた。
何故かアリババもムスッとしてしまい、モルジアナもブスーッと頬を膨らませそっぽを向いた。

(…はは、なんだか、モルちゃんが全部話してくれたおかげで怒りたい気持ち冷めたかも…)

やっぱりこうやって話し合いが進まないと、気になっちゃうんだよなあとAは苦笑する。
もう、涙だって引っ込んでしまったし。
今だけはこの中で一番おねえさんな気がしてきた。

「まぁ、モルちゃん…モルちゃんもいろいろあって怒るのもわかるし、もう本当その通り！って感じだけど…せっかく四人で久しぶりに会えたんだよ。そういえばいい月夜だし…
みんなでもっと楽しいお話をしましょう。」

「うん、ね！アリババくん。」

アラジンもニコリと笑った。
驚いて顔を上げるアリババだが、アラジンの隣で笑うAに視線を移動させると、その笑みが偽物だとすぐに気が付いて、また気まずくなる。
目を細めて、口角を上げて、ほら。作り笑顔の完成。

「お…おう！」

でもこのチャンスは生かしておこう、とアリババも思ったのか、そう焦りながらも返事した。