過去.６［マギ］ (ページ2)

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「いや～っ！誰か助けて～！」

「へへへ、誰も来ねーよ、国軍の警官どもは貴族のお守りで手いっぱいさ！」

暗闇に包まれた夜、静かな町に女性の悲鳴が響き渡る。
汚く笑う男は、女性の服を脱がし襲おうとしていた。

ぬっ

グワッ

「うわああ！？」

だが、突然後ろに現れた巨体によって頭を持ち上げられそれは阻止された。

その男はもう一人の金髪の男に蹴りを入れられ、グハッとダメージを受ける。

そしてもう一人の男は女性を襲おうとしていたもう一人の男にシュッと素早く突っ込み、

「独眼流内臓殺し(エスナンド・ボディーブロー)」という謎の技(その名の通り腹を殴る)をくらわせた。
それは男の内臓部分に思いっきりあたり、男は死にかけで倒れる。

「ケッ、女の操を奪おうなんざ、だせえ盗みしてんじゃねぇ、チンピラどもが！」

そう三人で並びカッコつけるのは、元・採掘砦の盗賊団頭領のSML３兄弟だった。
ありがとうございます！と泣きながら感謝を告げる女に「おい女、あっち行け！」とシッシッと手を払いどこかへ逃げさせると、ゴソゴソと倒した男の懐をあさり始める。

「にしても、日銭を稼ぐためにおいはぎをするなんて…あの昼寝男の宝飾品を売ればよいのでは？兄上…」

「この宝はな…売るワケにはいかねんだ…」

長男は昼寝男(シンドバッド)の宝を手に持ちながらも、片手でヒラリと何かをなびかせた。
三男は「なぜですか？」と不満気に聞く。

「その理由は「煌(ファン)」だよ。」

「煌？」

長男の片手でなびいていたものは、一枚の紙幣だった。

「ああこれは煌帝国の通貨だ。煌帝刻ではこれが金として流通しているらしい。そしてその上…やつらはそれをバルバッドを含めた近隣国にまで強制し始めたんだ。
その強大な軍事力で脅しながらな…
だが俺は、こんな紙キレ信じねぇ。金貨や銀貨のみ！だから宝はここに埋めておくのさ。」

キレイに穴を掘り、そこにキラキラ光る宝を丁寧に入れていく長男。

「これはこの国を脱出した時に掘り出して外の国で売る。」

「今この国で金貨に換えればいいのでは、兄上？」

「それがよぉ、この国はもう金貨銀貨がほとんどねぇんだ。船も止まり、国の外へも出られねぇ。今はここで国軍から逃げ続けるしかねーぜ…」

「もし、そこの三人。」

「ん？」

そんな三人を呼ぶ声が聞こえ、三人は一斉に振り返った。
そこには布で目から下を隠したいかにも怪しそうな男が。