Sanatorium. 4【文豪ストレイドッグス】

148#貴女に祝福を ページ9

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「私達は貴女に真実を伝えるために、祝福を貴女に届けるために、此処に来たのよ」




その言葉に私は唖然というか、呆然というか、そういう反応しか出来なかった。
すると、お母様と、お父様……は私を強く抱き締めた。




「生きてて呉れて有難う。私とても嬉しいの」


『……!』


「これからも、この世界で強く生きて。A」


『わ、たし……生きてても、いいの……?』


「勿論よ」




胸の中に拡がる温かさは、何だろうか。
よく分からない。
でも、悪い気分じゃないの……。




「実を云うと、僕死んでいるんだよね。此処に居た証に、Aには生きてて欲しいかな」


『はい?』


「深い事情があってユウリの本体は今や土の下よ。これは異能による意識復元体。だから見た目が若いでしょう。Mr.太宰くらいに」




慥かに……そうだけれども。
死んだって。死んでる……って。
今此処に居るのが異能による復元体なんて……。




『え、何歳で……』


「25とかそのぐらいかな。面白い異能を試しに使ってたら殺られたね」


「呆気なさ過ぎて言葉も出なかったわ。勿論殺った奴は私が始末したけれども」


『つまり、試しに使ってたのはその異能……?』


「復元体を作る異能。下らない運が働いたね」




何だかその運の可笑しさは治さんみたいだ、と
私は思ってしまった。クスクスと笑っていると、そっと頬を撫でられた。




「昔のアリアにそっくりだ。可愛らしい」


「顔の輪郭なんてユウリそっくりよ」


『ふふっ……二人の子だから、似てるよ。当たり前でしょ』


「「!!」」




キョトンとして顔を見合わせる二人。
何だかその様子は未だ若い少年少女のようで、私にはとても素敵で似合いの二人に見えた。




「森医師(せんせい)に会ったよ」


『え……』


「六歳の時に君を引き取ってくれたらしいね。全部経緯も聞いた。それからの君の事も」


「あの医者なら気が知れてるの。だからこのまま私達は貴女を彼に託そうと思ってる」


『いい、の……?』


「Aの人生は君の物語だ。脚本(シナリオ)は君が作っていい。君が、生きたいように生きればいいよ」




私は何処へ行くのだろうと思っていた。
真逆、留まっていいと云われると思っていなかった。

死ぬよりも生きる方が難しい。
だからこそ、人は死する時に完成する。




(それと、成金から謝罪の品を預かったわ)

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