172#冷静さを欠く事勿れ ページ33
(Side,夜鳥)
其処に居たのは濡羽色の髪を銀白色に煌めかせ、林檎の様な紅で唇を彩ったAだった。
俺と同じように煌めく薄紅の瞳は黒薔薇を模した眼帯で飾り付けられていた。
「A……?」
『あぁ……夜鳥。来ると思ってた』
そう云って微笑むA。
お前……その纏っている雰囲気は何だ……?
俺が目を離した少しの間に林太郎さんに何をされた?
「……お父様、Aに何をしたんですか」
「そんなに怖い顔で私を見ないでおくれよ。少し、彼女の本質に呼び掛けただけだよ」
『夜鳥。お父様を責めないで。ね?』
林太郎さんの前に出て庇うようにそう云うA。
……嗚呼、もうAは
「お前はいいのかよ!? 太宰さんは猟犬に捕まって、折角逃がしてくれたのは意味があるからだろう!? お前が今するべき事は他にあるんじゃねぇのかよ!!」
『ッ!?』
「はいはい、夜鳥君落ち着いて____」
「これの何処が落ち着いていられるんですか……!」
Aのチョーカーを引っ付かんで俺は怒鳴っていた。
林太郎さんの趣味、彼の色に染め上げられたA。何時もは似合うけれど、今はとても苛立たしい。
パシン、と乾いた音が部屋に響いた。
何が起こった……?
ゆっくり手を頬に近付けると熱を持ってヒリヒリとする。
林太郎さんに叩かれたんだ。
「ぁ……」
「君が冷静にならなくて如何するのかね」
「そ、れ……は……」
「
『……』
その場に崩れるとAが俺の背を優しく擦ってくれた。
はは……何だよ。
俺はAを護る所か何も出来てないじゃないか。
「何も外に出さないと云う訳では無いよ。時が来たらちゃんと君達にも仕事を与えよう」
『楽しみにしてる。お父様が喜ぶなら何でもするよ』
「あぁ……。Aちゃんは未だ此処で少し休もうね」
寝台に座らされるA。
俺も同じように椅子に座らされた。
ふと、見付けたのはAのチョーカー下の鬱血。
「……」
「破戒、デミアン、狩場の悲劇、アンナ・カレーニナ、カリギュラ、神さまの話……その辺りで応戦しなさい」
『うん』
「夜鳥君は少し落ち着く事」
「……はい」
Aを完全に取り込む気だ。
(夜鳥?)
(……)
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綺弌(プロフ) - Ratte*らてさん» 何回でもコメント嬉しいです(*´∀`*) リクエストの方、承りました! 頑張って練り練りしたら番外投稿しますので、またお知らせしますね! 有難う御座います!! (2018年11月26日 21時) (レス) id: 8d4a337e5e (このIDを非表示/違反報告)
Ratte*らて(プロフ) - 綺弌さん» 改めて関連ランキング2位、御目出度う御座います!何回もコメントは失礼かなと思いリクエストは控えていたのですがリクエストよろしいでしょうか……!太宰さんと夢主ちゃんがいちゃいちゃしててそれに嫉妬する夜鳥くんお願いしたいです(夜鳥くん本当に可愛いんですよ (2018年11月26日 19時) (レス) id: 112e01abc9 (このIDを非表示/違反報告)
綺弌(プロフ) - Ratte*らてさん» いつもコメント有難う御座います! 趣味とはまたすごい(笑) そろそろ書き貯めの為に少しお休みを頂こうかと考えていたりします。待って下さる読者様の為にも頑張りたいと思います。 (2018年11月26日 18時) (レス) id: 8d4a337e5e (このIDを非表示/違反報告)
Ratte*らて(プロフ) - 続編おめでとうございます!この小説を読むのが最近の1番の趣味になって来ています(笑)。更新スピードがやっぱり早くて心配ですが頑張って下さい!綺弌様を心より応援しております。 (2018年11月26日 18時) (レス) id: 112e01abc9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:綺弌 | 作成日時:2018年11月26日 11時