76#写し鏡は直ぐ其処に ページ31
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目の前には毎回恒例の異能追加申告書。
そして、少し怒った顔の安吾さん。
「またですよ。貴女これで何回目ですか」
『だって』
「だっても糞もありません。本当は監視を付けて軟禁が良いところをこの定期面会だけに留めているんですよ?」
『……はい』
毎回のように出てくる未申告の異能力。
だって、手札を教えるのは面白くないんだもの。
「はぁ……」
『ねぇ、安吾さん』
「今度は何ですか」
『歌姫と魔弾について教えて下さい』
安吾さんの顔付きが変わった。
驚いた顔をして眼鏡のブリッジを持ち上げた。
「何処でそれを知りましたか」
『お父様が調べていたの』
「俺は《
「夜鳥君、それは本当ですか」
「関係があったかどうか、真実は知りませんよ」
すると、安吾さんは「少し待っていて下さい」とそれだけ云って退出し、しばらくして戻ってきた。
手には幾つかの冊子があった。
「歌姫はアリアという女性。魔弾はユウリという男性です」
『それは聞かされました。異能力者だって事も』
「えぇ……貴女と同じように特一級指定を受ける程、強力な異能を持ち合わせていたそうです」
「……何の異能ですか」
其処からは聞かされていなかった。
歌姫はフォノン。つまり
『生死は? 何処に居るかとか』
「どちらも生存している事にはなっています。ですが、如何せん戦後の記録が殆どありませんから」
『此処最近のは判らない、と』
「えぇ」
特務課にも何も残っていないのなら、聞いても仕方がない。
でも、少しだけ情報は得られた。____安吾さんは隠し事をしている。
『……では、申告書は書いたので失礼します』
「……そうですか」
帰ろうとすると、安吾さんは私の手を掴んだ。
夜鳥が怖い顔で安吾さんを睨むのを制し、後ろへと振り返った。
『まだ、何か』
「歌姫は、最近この横浜で目撃されています」
『!』
「恐らく、彼女の行く先に魔弾も同じく現れます。彼らは写し鏡のような存在ですから」
『へぇ……』
「……A。早く行こう」
『うん。では、今度こそ失礼します』
(____躑躅森憂吏の異能と彼女の異能の類似性は……)
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綺弌(プロフ) - 秋野楓さん» コメント有難う御座います。双子ちゃん人気で嬉しいです! 夢主ちゃんと誕生日が同じとは……! Sanatorium.は現在パート4まで、また番外編の受け付けもしています。これからも頑張って行きますね〜 (2018年11月27日 0時) (レス) id: 8d4a337e5e (このIDを非表示/違反報告)
秋野楓(プロフ) - 初コメ失礼します!夢主ちゃんと片割れくんのコンビ素敵ですね!実は夢主ちゃんと同じ誕生日でびっくりしてコメントしてしまいました…笑これからもがんばってくださいね! (2018年11月27日 0時) (レス) id: 0550af0881 (このIDを非表示/違反報告)
綺弌(プロフ) - Ratte*らてさん» コメント有難う御座います。キャラ誉めて頂けて嬉しいです! 日々、ゆっくりと頑張っていきます。 (2018年11月1日 22時) (レス) id: 8d4a337e5e (このIDを非表示/違反報告)
Ratte*らて(プロフ) - いやー…夢主ちゃんも片割れくんも可愛いですねぇ…、癒しです。更新応援してます頑張って下さい!! (2018年11月1日 21時) (レス) id: 112e01abc9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:綺弌 | 作成日時:2018年10月26日 3時