Sanatorium. 2【文豪ストレイドッグス】

72#秘密だらけの歐穴 ページ27

(Side,敦)


皆は探偵社に入る前は何をしていたか。
という話になったのだが、Aさんは「知りたい?」と妖しげに笑う。




「何してたと思う?」


「へ?」


「なにね、定番なのだよ。新入りは先輩の前職を中(あ)てるのさ」




結局、谷崎さんと妹さんは学生さんで、国木田さんは数学の先生だったらしい。
そして、残るのは双子さんと太宰さん。




『ふふっ、私の目を覗いても何にも見えませんよ』


「この双子相手に腹の探り合いをするのは、太宰を相手にするのと変わらんからな」


「ううーん……僕よりは年下、ですよね」




Aさんは色っぽいけど僕より年下に見える。夜鳥さんはクールで背格好も大人っぽくて年上に見えるけど。




『今年17歳になりました』


「なら矢っ張り、谷崎さん達と同じで____」


「違います」


「えぇ?」


「実を云うと俺と太宰、乱歩さん、与謝野女医(せんせい)、それから社長は双子の前職を知っている。賢治と谷崎達には訳あって云えなくてな……」




そんな職業ってあるの!? 僕よりも年下なのに!?
谷崎さん達も「仕方ない」と云っているし。




『あと、“さん”付けも敬語もいいので』


「じゃあ、僕も敬語いらないです」


『そう? ならそうする』




結局分からず終いの双子の前職。
国木田さんの顔色が悪かったから、まずいやつなのかな。いやいや、詮索するのは止めよう。夜鳥君の目線がめちゃくちゃ刺さってる。




「じゃ、私は?」


「太宰さんは……」


「無駄だ小僧。武装探偵社七不思議の一つなのだ。こいつの前職は。……双子は知ってるらしいがな」




そういえば、双子は太宰さん達は親しい感じがする。
夜鳥君は警戒しているみたいだけど、Aちゃんの方は慕ってる……みたいな。




「Aちゃん達と太宰さんの関係って……」


『「幼馴染の腐れ縁」』


「あっ、そういう……」




納得の答えだった。
親しい友達というより兄妹みたいな感じだったから。




「最初に中てた人に賞金が有るンでしたっけ?」


「そうなんだよね。誰も中てられなくて懸賞金が膨れ上がってる」


「俺は溢者(あぶれもの)の類いだと思うが、Aもこいつも断固として違うと云う。しかしこんな奴が真面(まとも)な勤め人だった筈がない」


「尤(もっと)もな推測」




夜鳥君、絶対太宰さんの事嫌いだよね。
毒しか吐いてないよね。




(夜鳥君ひどーい)
(事実です)

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