Pixie ページ10
一通りの功績をたっぷり全部みんなに披露したあと、先生は目の前のカゴの布を取った。
「どうか叫ばぬように。叫び声は連中を＿」
「挑発します！」
中に入っていたのは、捕まえたてで元気すぎるピクシー妖精。
「ピクシー妖精か」と誰かが言った。
「捕らえたてのピクシー小妖精。笑うのは今のうちだ。厄介で危険な小悪魔ですぞ。では、」
そう言って先生はカゴに手をかけた。
「お手並み拝見！」
同時に、カゴの扉を開け放つ。青い肌の小さな羽の生えた生き物が教室中を飛び回った。
「どうした、捕まえて見たまえ」
ピクシーは教科書を破ったり視界をさえぎったりやりたい放題だ。
ほとんどの生徒が教室から逃げ出す中、ネビルがピクシーに耳を掴まれて、上の照明にローブを引っ掛けられて吊り下がってしまった。
本を使って追い払っていた私も例外ではなく、髪の毛を引っ張られて真っ直ぐ進めない。
「ああもう、邪魔！」
えいっとヤケクソで手を閉じると、そこには呆然とした顔のピクシーが2匹ほど居た。
「あ……捕まえちゃった」
とりあえずカゴにそれをぶち込んで、またピクシーを掴むという我ながらよく分からない奇行を繰り返して、やっと6匹程捕まえた頃、先生は呪文の詠唱に失敗して、
「君たち、あとは捕まえておくように」
と慌てて教室を飛び出した。
「イモビラス！」
ハーマイオニーが唱えると、ピクシーの動きがぴたっと止まった。
「なんで僕だけこうなの？」
ネビルは自嘲するように言った。
ーーー
あの後、動体視力とフィジカルが何とかでクィディッチの選手に大抜擢されたけど、私は荒々しいのは嫌なので断った。
そのあと、ロンとハーマイオニーが中庭で授業の復習をしていたので、混ぜてもらうことにした。
「モメそうだぞ」
ロンの声で顔を上げると、今にも取っ組み合いが始まりそうなスリザリンとグリフィンドールのクィディッチの選手らがいた。
「新シーカーって？」
グリフィンドールのキャプテン、オリバー・ウッドが訊いた。
選手の壁から割って出てきたのは、なんとあの嫌味なハゲ……オールバックが目印のマルフォイだった。
「マルフォイ？」
ハリーが驚いたように言う。
「そうさ、それだけじゃない」
マルフォイはわざとらしく箒を動かした。
「ニンバス2001だ、どこでそれを？」
「ドラコの父上さ」
スリザリンの選手が答える。
「誰かさんの家とは蓄えが違うんでね」
マルフォイは偉そうにのけぞった。
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作者名：そぼく | 作成日時：2023年3月27日 2時
