JK,ホストクラブのオーナーになりました。 【歌い手】

源氏名 ページ7

突然室内に声が響いたと同時に驚いて辺りを見回すと、二人の男性が立っているのが見えた。
一人は黒髪で毛先を赤色に染めた背の高い男性、もう一人は髪色を黒と白でハーフに分けた男性。
だいぶ髪色が派手だな……。この人たちもSTPRの従業員さんなのかな。






ななもり「他のみんなは？」

「自室で休んでる人と営業準備に回ってる人、それから買い物に行ってる人で分かれてます」






ななもりさんの問いに、黒髪の人が答えた。うわぁ、すっごいイケボ！
見た目も良くて声もいいって凄いなぁ。
思わず感心しながら見つめていると、ハーフ髪の男性が「あの」と口を開いた。






「この子は……」

ななもり「彼女は柚木桜子さん。今日から一緒に暮らす、宗助さんのお孫さんだよ」

『は、初めまして。本日からよろしくお願いします！』






勢いよく頭を下げると、ハーフ髪の人は「あ、そういうことだったんですね」と言って笑った。
ゆっくりと頭を上げると、目の前の彼はニコッと笑顔を浮かべながら私に手を差し伸べていた。







「平仮名でまぜ、丸太の太と書いて”まぜ太”と申します。これからよろしくね」

「俺は全部平仮名で”あっと”って言います。今日からよろしく」







”珍しい名前だなぁ”と思いつつ、私は二人と握手した。
最近はキラキラネームも多いし、お二人もその類なのかな。







まぜ太「ちなみに、本名じゃないよ？」

『えっ』

あっと「”源氏名”って言って、ホストが仕事のときに使う名前なんだ」

ななもり「プライベートでも源氏名で呼ぶことが多いから、たまに本名が出てこなくなるときあるんだよね」







私は「へぇ〜」と相づちを打ちながら、サラッと心が読まれていたことに冷や汗をかいた。
別にやましいことは言ってないけど、何となくビックリするよね。エスパーかなって思っちゃう。







ななもり「桜子ちゃんも、俺たちのことは源氏名で呼んで。たぶん、本名で呼ばれるときより反応早いから」






そう言ってクスっと笑うななもりさんを見ながら、私は「はい」と言って頷いた。
私の答えを聞いてから、ななもりさんはまぜ太さんたちに視線を流した。






ななもり「営業前のミーティングのときに大事な話があるから、みんなにも伝えといて」

あっと「了解です」

ななもり「ありがとう。＿＿＿それと、桜子ちゃんにもミーティングに参加してもらいたいんだけどいいかな？」

『え？あ、はい。大丈夫です』

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