JK,ホストクラブのオーナーになりました。 【歌い手】

責任 ページ49

はっきりと言葉でそう詰めると、莉犬さんだけではなくあっきぃさんたちも苦い顔をした。
恐らく、私が言わなくても全員薄々気づいてたと思う。
分かってたけど自分の弱い所を知られるのが嫌で誰も口には出さなかった。
ー−−中学時代の私と同じだ。自己防衛してるのがバレたくなくて、誰かのためだって言い張って。
結局、それは何にもならなかった。むしろ、モヤモヤだけが残って凄く後悔した。








『……責任を負うということは、年齢が増すに連れて勇気がいることです。
　自分だけだったら尚更、辛くて重いものになってしまう。
　それでもそうまさんがこの件を引き受けたのは、
　彼の真面目さとSTPRを想う気持ちがあったからだと思うんです。
　＿＿＿私は、その大切な”思い”をそうまさん一人に背負わせたくありません』








口で言う程、現実は甘くないし簡単じゃない。
私なんてホントに部外者だし、社会に出たことすらないただの高校生だ。
大人から見れば、きっと私は未熟で馬鹿みたいに映ると思う。
関わらなければ楽なままのに、首を突っ込んでしまって被害を被ることになる。








『だけど、一人で大丈夫だって思っていても、案外人間は脆いものでちょっと歪ですぐ壊れるんですよ。
　そして壊れた人間は、すぐには再生できない。もしかしたら、自ら命を捨ててしまうかもしれない。
　そうなる前に、私は彼と一緒に頑張りたいんです。誰も、犠牲者が出ないように。
　辛いことを抱え込みすぎて、人生を破壊されることがないように』








周囲を見回しながらそう言うと、莉犬さんの目が揺らいでるのが分かった。
私は「我儘でごめんなさい」と言って深く頭を下げた後、もう一度皆さんの顔をゆっくりと見た。
”もう二度と、人が壊れる瞬間なんて見たくない”
だから、私は自分に出来る最善を尽くす。








『ー−−どうせ苦い思いを味わうことになるなら、やらないで後悔するよりやって後悔した方が数百倍いい』








しばらくの沈黙の後、莉犬さんが大きくため息をついた。
何を言われるのかと心臓をバクバクさせていると、「桜子ちゃんって、意外と神経図太いよね」と呟かれた。
突然の罵倒に理解が追い付かず目を白黒させていると、”ふっ”と莉犬さんが優しく笑った。








莉犬「……分かった。俺の負けでいいよ」







そのまま彼が「そうまくんを助けに行こう」と続けたのに対し、私は”はい！”と大きく返事をした＿＿＿。

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