JK,ホストクラブのオーナーになりました。 【歌い手】

理不尽 ページ47

交際相手に黙ってホストクラブに遊びに来ていた件に関しては、美羽さんに非があると思う。
だけど、今彼氏さんが怒りをぶつけている相手はどう見てもそうまさんだった。
美羽さんに対して悲しみとかの感情を抱くなら分かるけど、何でホストのそうまさんに怒ってるんだろう。
すんなり状況が吞み込めず、私は隣にいたあっきぃさんに事情を尋ねた。








話によると、美羽さんがSTPRに来るようになったのはそうまさんが誑かしたせいだと文句をつけているらしい。
彼氏さんの理不尽なキレ方に納得出来ず、私は反射的に「何故そうなった」と呟いてしまった。
付き合っている人がいるのも関わらず、ここに足を運んでいた紛れもなく彼女自身だ。
それにホストクラブなんて自分から興味を持たない限り行かないだろうし、
誑かしたからという理由でそうまさんを責めるのはお門違いすぎる。









『……そうまさんって、美羽さんに彼氏さんがいらっしゃることをご存じだったんですか？』

あっと「いや、たぶん知らなかったと思う。
　 あの人、意外と義理堅いから自分の姫に交際してる人がいるって知ったら色営なんてしないだろうし」









”知らない”という言葉で済まされるほど甘い世の中ではないけど、いくら何でもこれは酷い。
モヤモヤした気持ちを抱えながら黙り込んでいると、「土下座しろよ」というワードが耳に入って来た。
その言葉にビックリして美羽さんたちの方に再び顔を覗かせると、
彼氏さんの怒りのゲージがMAXに達したのか、そうまさんに対して罵声を浴びせていた。
心ない台詞を吐き続けることに怒りを抑えられず止めに入ろうとしたが、後ろからガッと腕を掴まれた。








心臓が止まるかと思いながら焦って横を向くと、莉犬さんが真剣な表情で首を横に振っていた。
その仕草の意味が分からずぽかんとしていると、低い声で「やめた方がいい」と忠告された。
”え”と声を漏らすと、「桜子ちゃんが行っても解決にはならないよ」と厳しい言葉を放たれた。










莉犬「今は責任者のなーくんもさとみくんもいない。そして残ってるのは何の力もない従業員と女子高生。
　 俺らが行ったって、余計状況が悪くなるだけ。
　 だったら、最初からこの場はそうまくんに任せた方が安全だよ」









「そうまくん自身も”自分一人で対応します”って言ってたし」と付け足す莉犬さん。
私は少しの間沈黙を生んだ後、「……私は、そうは思いません」と小さく声を上げた。

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