JK,ホストクラブのオーナーになりました。 【歌い手】

治安 ページ45

そのまま職場へ行くかってことになったけど、
私は外着用の服に着替えたかったから皆さんには先にSTPRに足を運んでもらうことにした。
部屋に戻って荷物を準備し、私は白のロンTと黒のスキニーという微妙にボーイッシュな服装にチェンジした。
キャップ帽を被って外に出たはいいものの、ホストクラブまでの道のりが若干危ういということに気が付いた。
たぶん迷う程の複雑な道ではなかったはずだけど、割と方向音痴だから怖いなぁ。








気合でイケるかなぁと根性論的なことを考えていると、後ろから「あ、ここにいた」という声が聞こえた。
パッと声のした方に顔を向けると、先ほどちぐさくんと一緒に友達営業の実演をしてくれてたあっとさんがいた。
あれ、一足先にSTPRに向かったはずじゃ……。
疑問に思って首を傾げていると、あっとさんは「じゃあ、行きますか」と言って歩き出した。
”待っててくださったんですか？”と尋ねると、彼は相づちを打ってから「護衛も兼ねてね」返した。









『護衛……ですか』

あっと「昼とはいえ、女子高生に歌舞伎町を一人で歩かせるのは危険じゃないかと思って」

『え、そんなに危ないんですか？』

あっと「夜よりは治安はいいと思うけど、渋谷とかその辺に比べたらあんまり安全ではないかな」









まさかの情報に、私は軽く血の気が引いた気がした。
怖いって。もう歌舞伎町を一人で歩けなくなるじゃないですか。
私が青ざめているのを見たあっとさんは「まぁ、今は俺がいるんで大丈夫っすよ」と楽しそうにしていた。
ありがたいし頼もしいけど、笑いながら言ってくるあたりドＳだな……。







何とも言えない気持ちを抱えながら足を進めていると、後ろから何かがぶつかった衝撃が体に走った。
咄嗟にあっとさんが支えてくれたから倒れずにには済んだけど、地味に痛い。
呻き声を上げそうになっていると、頭上で「すみません！」と謝る声が聞こえた。
視線を斜めに上げると、ピンク髪に桃色の瞳を持つピアスバチバチの男性、
赤髪に紫の目をした可愛らしい顔立ちの男性が申し訳なさそうにしていた。







「ごめんなさい。お怪我はありませんか？」と声が高めの赤髪男性に問われ、
私はブンブン首を振って”大丈夫ですよ”と答えた。
ちょっと見た目が派手なピンク髪の男性は深々と頭を下げた。







「ー−−本来であれば今すぐにお詫びをしたいのですが、今日は本当に外せない急用がありまして。
　また後日ご連絡をさせて頂きます」

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