JK,ホストクラブのオーナーになりました。 【歌い手】

種類 ページ42

昨日の職場体験で色営がどんなものかはある程度見た限り、
割とえげつないというか、ぶっ飛んだ営業方法だった気がする。
心の中で苦笑いを浮かべながら、私は演者の二人に視線を送った。
内容と空気的にさとみさんがホスト役で、莉犬さんがお客さん役かな。








そんな予想を立てていると、ソファーに腰を掛けていたさとみさんが隣の莉犬さんの肩に腕を回した。
ただ肩に腕を回して密着しているだけなのに、何故か妖艶な雰囲気を放っている二人。
一体、何が始まるんだろうか……。そして、どうしてこんなに甘いムードが流れてるんだろう。
若干体を後ろに引きながら眺めていると、さとみさんが持ち前のイケボで「俺さぁ」と呟いた。










さとみ「ー−−最近、莉犬のことばっか考えてるんだよね」

莉犬「ホント１？私も同じ！」

さとみ「あは、マジで？めちゃくちゃ嬉しいわ」









さとみさんが殺傷能力が高そうな顔面でニコッと笑うと、莉犬さんは頬を赤らめた。
その反応を見たホストさんは、「俺、莉犬のこと好きだからさ。だから頭から離れないのかも」と囁いた。
糖分高めのその発言に、思わずギョッとしてしまった私。
この人がこういう顔がニヤけてしまうような台詞を言うことも意外だけど、
何より明らかに女性を勘違いさせてしまうような言葉をキラキラしながら吐いていることに驚いた。









状況が理解出来ず困惑していると、ななもりさんが「これが色営だよ」と言った。
いや、そんな”分かった？”みたいな表情で言われましても。
何というか、下手したら問題が起きてしまいそうな匂いがプンプンするんですけど……。
昨夜あっとさんが言ってたことは間違いじゃなかったんだ。
私は冷や汗を掻きながら、「これ、色々と大丈夫なんですか？」と小声で尋ねた。










ななもり「まぁ、言動に気を付けてればそこまで大きなことにはならないと思う」

『いやいやいや、思いっきり”好き”とか言ってるじゃないですか。
　こんなこと言われたら、大体の人は勘違いしちゃいますよ』









そう言うと、ななもりさんは一瞬沈黙した後、「好きの種類って何個あると思う？」と私に聞いた。
何種類あるかってそりゃ……あ。
そこまで考えて、私はななもりさんの言いたいことが分かった。
＿＿＿好きの種類が”恋愛対象として好き”とは限らない。
つまり、言い逃れしようと思えばいくらでも出来るのだ。あまりにゲスな考え方に、私は苦笑いをしてしまった。

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